ビワイチの魅力と歴史:昭和時代の子どもが挑んだ琵琶湖一周サイクリング冒険

想い出

昭和時代、一群の中学生が挑んだビワイチの冒険。今となっては信じられないかもしれませんが、子どもたちだけで一日かかって200kmを自転車で走破した経験を、ここで皆さんに披露します。この記事はビワイチの初心者から熟練のサイクリストまで、幅広い読者に楽しんでいただける内容となっています。

「ビワイチ」とは

滋賀県の琵琶湖を自転車で一周すること(走行距離は約200キロ)
琵琶湖一周サイクリングのこと
を「ビワイチ」と呼ぶそうです。

2001年から使われ出した言葉だそうです。
私がこの言葉を知ったのは、2020年のことです。

最近は琵琶湖大橋を渡っての北湖一周を指すことも多く、
その場合のビワイチの走行距離は150km。

一方、北湖に加えて南湖50kmを含めた琵琶湖の外周全部を走る場合は、
193kmの「フルビワイチ」とも呼ばれているそうです。

コアな(熱心な・本格的な)サイクリング愛好家の間では
 「ビワイチする」 「ビワイチ・サイクリング」
と言うそうです。

輪の国びわ湖推進協議会という組織があって、
「びわ湖一周サイクリング認定証」
「びわ湖一周サイクリング認定ステッカー」
というものまであります。

私が「ビワイチ・サイクリング」をすることになった経緯

昭和40年代の末、私が中学三年生だったときのことです。
当時の私は、滋賀県大津市の
瀬田川(琵琶湖から流れ出す唯一の自然河川。大阪湾に流れる淀川の滋賀県内での名称)
の東側のエリアに住んでいました。

ビワイチに挑戦することになったきっかけは、
昭和時代の子どもらしい(?)口論がきっかけでした。

当時は、義務教育の学校は、
週休二日ではなくて、土曜日は午前中半日授業でした。

11月の最初の土曜日に学校内で、
数名の男子が二つのグループに分かれて
「できる!」「できるはずがない!」
と熱くなって口論していました。
口論の熱さのせいで野次馬的に人が集まっていきました。

私は途中から話の輪に入っていったのですが、
争点は、
琵琶湖を自転車で一日で(日帰りで)一周することが
できるか?できないか?
でした。

できる派の中心の生徒の根拠は
「ぼくのお兄ちゃんの友達がやってみてできたという話を聞いたことがある」
でした。

翌日の日曜日の天気予報は「晴れ」、
そして、明後日に当たる翌週の月曜日は祝日(文化の日)だったので、
日曜日に挑戦して万が一帰宅が深夜になっても、
月曜日は学校が休みなので、その点心配ない
ということで、
まさに “勢い” でさっそく翌日の日曜日に、
約10名の有志が、自転車で琵琶湖一周を日帰りでやってやろう
ということになったのです。

そのうちの一人がもちろん私でした。

「ビワイチ」の当日

11月2日(日)、その日の天気は晴れ。
私は、まだ日の出前の暗い時間帯の確か午前5時頃に家を出発し、
集合場所の「瀬田の唐橋」の東側から出発して、
地図の北を上にして時計の反対周りで
琵琶湖一周サイクリング日帰り達成への挑戦
が始まりました。

道は、最大限、車通りを避け、その上で、
なるべく琵琶湖の岸に近くて、琵琶湖がよりよく見える道
を選ぶようにしました。

<琵琶湖の周囲に沿って走っていけば、一周回って元の位置>
という子どもらしい(?)素朴な発想で、
参加メンバーの誰も道路地図を持参していませんでした。

携帯品といえば、
お店で菓子パンやジュースなどを買うための小遣い銭くらいでしたね。

でも、まだ中学生ながらしっかりしていた点があります。
それは、
■特に疲れを感じていなくても、必ず定期的に(たしか1時間半か2時間おきに)
 休憩の時間をとるようにしたこと
■自転車のペダルの正しい漕ぎ方(親指の付け根の辺りで踏み込む)を
 メンバー全員が励行したこと
です。

まだ夜明け前に出発したのですから、7時台になってすっかり明るくなるまでは、
「もしも、まじめなお巡りさんの目に留まって、
  『まだ暗い中を子どもだけでいったいどこへ行こうとしているのだろう?』
 と疑問をもたれて職務質問を受けることになれば、
 補導されてしまうのでは………」
という(子どもならでは?の)不安が少しあったので、
メンバー全員、黙々と静かに自転車を漕ぎました。

日の出後すっかり明るくなってからは、心配は解消。
当日は日曜日で朝から天気が良く、まさに絶好のお出かけ日和。
琵琶湖一周で通過する滋賀県の各市町村ごとに、
地元の中学生が地元エリア内を友達と一緒にサイクリングしている
ように見えているはずですから。

だって、当時はまだビワイチという言葉さえなく、
琵琶湖を自転車でしかも一日で一周するという発想は、
大人も子どももフツーは誰もしませんよね!

朝すっかり明るくなってからお昼過ぎ(午後1時半頃?)までは、
ワクワク感で一杯、「サイクリング最高!」という気分を満喫していました。

琵琶湖一周も後半に入り、
滋賀県北西部の安曇川(淀川水系の一級河川)を渡った頃からは、
「一周の終点「瀬田の唐橋」に夜の何時頃に到着できるだろうか?」
と気になりだし始めました。

当日は11月2日、
まさに諺「秋の日はつるべ落とし」のとおり日暮れが早く、
暗いと何も景色を楽しめませんし、
さすがに疲労感も出てきていましたので、
夕暮れ以降はみんな黙々と走り続けたことを覚えています。

そしてついに、誰一人ケガをせず、事故に遭わず・起こさず、
無事に日帰りでのビワイチを達成できたのでした。
私が帰宅したのは午後8時前でした。

昭和の親は、過保護じゃなかった?中学生を完全な子ども扱いはしなかった?

令和の今現在だったら、絶対に誰かの親が、
〇 中学生だけでは危険、もってのほか!
〇 親として認めるには、しかるべき大人の引率者がいることが前提条件
〇 走行距離約200キロにいきなり挑戦するのは無謀
〇 校則に違反することになるはず
などとあれこれ問題点を指摘して、
子どもだけのビワイチ挑戦に反対して中止させようとする可能性が大ですよね?!

子ども(中学生)だけでいきなり日帰りでの200キロ・サイクリングに挑戦する
などという無謀?なことは、
昭和の時代だからこそ、親の反対を受けずにできた “冒険” だったように思います。

琵琶湖とサイクリング

普通の人にとっては、
ビワイチ・サイクリングは好き好んで挑戦したいものではないでしょうが、
琵琶湖周辺には素敵なサイクリング・エリアがいくつもあります。

たとえば、
琵琶湖北部の海津大崎
は有名な景勝地で、サイクリングにもお勧めです。

また、サイト「輪の国びわ湖 びわ湖1周」のお勧めルートからは外れているのですが、私の中学生のときのビワイチで走ったコースでは、
近江八幡にあるリアス式湖岸のエリア
でわざわざ湖岸沿いのルートを選んだところ、
上り下がりが多いジェットコースターのようなルートで
上り坂では骨が折れましたが、
でも、景色がよくて、
下り坂では子どもにとってはの醍醐味を味わうことができました。

この記事をお読みのあなたが
滋賀県の琵琶湖近辺にお出かけになることがあって、
そのときに時間が許せば、
たとえ半時間程度であっても
ぜひ湖岸をサイクリングしてみてはいかがでしょうか。
季節と天気に恵まれていれば、きっと爽快ですよ!

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