「お客様は神様です」(演歌歌手 三波 春夫)
三波春夫さんが、歌手デビューから4年目の1961(昭和36)年に “お客様を神様とみる” という心構えであることを舞台の上で話したことが始まりで、その後、漫才トリオの「レッツゴー三匹」さんが「三波春夫でございます。お客様は神様です」という表現を流行させて、「お客様は神様です」という言い方が世の中に定着したというのが、経緯だそうです。
三波春夫オフィシャルサイトには、次のように説明されています。
「三波本人が生前にインタビューなどでこのフレーズの意味を尋ねられたとき、こう答えておりました。『歌う時に私は、あたかも神前で祈るときのように、雑念を払ってまっさらな、澄み切った心にならなければ完璧な藝をお見せすることはできないと思っております。ですから、お客様を神様とみて、歌を唄うのです。』」。
また、長女の 三波 美夕紀 さんは、次のように語っておられたそうです。
「三波にとっての「お客様」とは、聴衆・オーディエンスのことです。また、「お客様は神だから徹底的に大事にして媚びなさい。何をされようが我慢して尽くしなさい」などと発想、発言したことはまったくありません」。
けれども、「お客様は神様です」だけが独り歩きしてしまって、客側の「お客様は神様なんだぞ」という意識が背景要因となって、カスタマー・ハラスメント(お客様からの嫌がらせ。客から従業員への恫喝や理不尽なクレーム、過剰な要求など。略してカスハラ)につながっているそうです。本当に残念ですね。
「天は人の上に人をつくらず、人の下に人をつくらず」(福沢 諭吉)
世間でよく知られているこの名言には続きがあります。
「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らずといへり。 (~中略~) されども今廣く此人間世界を見渡すに かしこき人ありおろかなる人あり 貧しきもあり冨めるもあり 貴人もあり下人もありて 其有様雲と坭との相違あるに似たるは何ぞや。 (~中略~) されば賢人と愚人との別は学ぶと学ばざるとによりてできるものなり。」
要点をまとめれば、<天は人間を平等につくったけれども、賢い人と愚か者がいて雲泥の差があるのは、“学ぶ” か “学ばない” かによるものである>。この名言が強調したい点は、人間の平等性よりも学ぶことの重要性ですよね。
ただし、「学ぶ」ことについては、『論語』のなかに次のような名言警句があります。
「学びて思わざれば則ち罔し(くらし)、思いて学ばざれば則ち殆し(あやうし)」
自己流の解釈ですが、「学ぶだけで自力で思索しなければ本当の理解には至らず知識を活かすことができないし、自分で思索するばかりで知識を学ばなければ思考が凝り固まって独善的になってしまう危険がある」というような意味だと思います。
最後に、名言とことわざを一つずつ紹介してこの記事を締めくくります。
「20歳だろうと80歳だろうと、学ぶことをやめた者は老人である。学び続ける者は若さを保つことができる。」(ヘンリー・フォード フォードモーター社創始者)
「習うは一生」