東京大空襲の日
1945年3月10日、10万人を超える人的被害を出した東京大空襲がありました。この日を記念して、「東京都は、戦争の惨禍を再び繰り返さないことを誓い、3月10日を「東京都平和の日」と定めています。」(東京都のホームページより)ということです。
2023年3月10日のお昼のニュースーによれば、東京都慰霊堂(東京都墨田区)で犠牲者を追悼する法要が営まれ、主催者の東京都慰霊協会会長が挨拶の中で「平和を心から願うとともに、悲惨な出来事を風化させることなく将来の教訓として生かしていくのが私たちに課せられた使命だ」とお話しになったそうです。
将来の教訓としてどのように生かしていくのか?---それが肝心です!
「東京大空襲・戦災資料センター」のホームページによれば………
「1945年3月10日の下町大空襲」「すでにアメリカ軍は、都市の中で、住宅が密集し人口密度が高い市街地を、焼夷地区1号に指定していました。………。住民を殺戮し、それによって戦争継続の意思をそぐことが、主な目的でした。また、市街地を焼き払うことで、そこにある小さな軍需工場を焼くことも合わせてねらっていました。」
東京大空襲は、ジェノサイドであって、戦争犯罪では?
今現在は、戦時国際法によって、軍事目標以外への攻撃(降伏者、負傷者、民間人等の攻撃)や軍事的必要性を超える無差別な破壊・殺戮は、禁止されています。
このため、非戦闘員たる民間人、学校や家などの建物、水源や電源施設などのインフラを意図的に標的にすることは、戦争犯罪になります。
民間人の偶発的被害が予想される軍事行為において民間人へ多大な被害が想定される攻撃は、許されません。非戦闘員の殺害は、特に重大な戦争犯罪です。
1945年の広島・長崎への原爆投下の時点でも、非戦闘員の殺傷を目的とした攻撃を禁じるハーグ陸戦条約があったのですが、その有効性には争いがあって、第2次世界大戦のすべての交戦国が加入してはいなかったことから、第2次世界大戦には不適用だそうです(注1)。
ただし、現在の国際法に照らせば、東京大空襲も広島・長崎原爆投下も戦争犯罪、しかも特に重大な戦争犯罪であることは明白です。
(注1)2013年5月(当時は第2次安倍内閣)、政府は、『参議院議員福島みずほ君提出1945年3月10日の東京大空襲に対する政府の認識に関する質問に対する答弁書』において、「政府としては、当時の状況については様々な見方があり、御指摘の東京大空襲は、当時の国際法に違反して行われたとは言い切れないが、国際法の根底にある基本思想の一たる人道主義に合致しないものであったと考える。」と答弁しています。
私の考える『日本国平和国家宣言』(試案)
私は、国際社会の一員として日本国はどのような国家でありたいと考えていて、国際社会にどのような形で貢献しようと考えているのかを、国際社会に積極的にはっきりアピールすべきだと考えています。
以下は、そのための『日本国平和国家宣言』(試案)です。
『日本国平和国家宣言』(試案)
日本国は、
1.選民思想にも中華思想にも将来にわたって無縁で、自由、民主主義、法の支配及び人権を信奉し、平和主義の下、諸外国との友好関係を増進し、世界の平和と繁栄に貢献すること
2.唯一の戦争被爆国として、核兵器廃絶の実現に力を尽くし続けること
3.出入国管理及び移民政策については、不法移民対策(流入の阻止及び排除)を推進する一方で、世界の模範となる十分な社会統合政策の提供体制(能力)の範囲内で移民を受け入れて「日本人の心」と「地球市民の心」を兼ね備えた教育を行い、「新たな国民」を生み出すという共生社会の実現に尽くすこと
4.大東亜戦争において連合国が我が国に対して行った広島・長崎への原爆ジェノサイド、東京その他の都市への大空襲ジェノサイドは、当時でも非人道的かつ犯罪的であり、現在の国際法では特に重大な戦争犯罪であることは明白であるが、日本国民は復讐心を持っておらず、我が国は将来にわたって復讐を考えないこと
5.国際連合憲章の敵国条項(注2)は、もはや不要であって、その撤廃(注3)を求めるものであること
をここに宣言する。
(注2)国際連合憲章の規定のうち、第二次世界大戦中に連合国の敵国であった国(日本、ドイツ、イタリア、ブルガリア、ハンガリー、ルーマニア、フィンランドの7か国)に対する措置を規定した第53条及び第107条並びに敵国について言及している第77条のこと。ざっくり要約すれば、敵国であった国が起こした紛争に対して、国際連合加盟国や地域安全保障機構は、平和的解決をする必要がなく、自由に軍事制裁を下すことが認められているのです。例えば、尖閣諸島は日本が沖縄県石垣市登野城尖閣として実効支配しているのですが、中国政府はその領有権を主張しています。このため、中国は、【日本による尖閣諸島の「実効支配」を「旧敵国による侵略政策の再現」であるとみなす】という論法で、国際連合憲章の敵国条項を法的根拠とすることで、平和的解決も話し合いもせずに日本に対して軍事的制裁を下してもその正当性を主張することができることになるのです。
(注3)1995年の国連総会で、憲章特別委員会による「敵国条項」の改正削除が採択され、同条項の削除が正式に約束されたのですが、約束されただけで、未だに敵国条項は削除されておらず、削除される見通しは無きに等しいようです。
補足説明
「3.」について、まず、「「日本人の心」と「地球市民の心」を兼ね備えた教育」とは、日本の伝統文化の精髄を教える文化教育と多民族共生教育を指します。
次に、「世界の模範となる十分な社会統合政策の提供体制(能力)の範囲内で受け入れる移民との共生社会」とは、世界の模範となる社会統合政策を実行し、国内の高等教育機関や職業訓練機関を活用することによって、日本語を含めた十分な教育を受けた外国人材を移民として受け入れ、就職を支援し、永住を認め、日本国籍を与えて、日本人と良好な関係で地域社会に根を下ろしてくれる「新たな国民」を生み出すという共生社会を意味します。これは、坂中英徳 一般社団法人移民政策研究所長提唱の『日本型移民政策』の核心ですが、ただし、私の考えは、まず初めに大量の移民の受け入れを前提とするものではなく、今後トータルでどれくらいの人数の移民を受け入れることとするのかをはじめとして移民政策のあり方については国民的議論を尽くして決めるべきだというものです。詳しくは、2023年2月24日付け投稿記事『日本は移民国家? これさえ押さえれば完璧 その8「なし崩し的な移民受け入れ拡大に終止符を打ち、移民政策を政治的課題として有権者が選択できるようにするためには」』を参照願います。
「4.………日本国民は復讐心を持っておらず、我が国は将来にわたって復讐を考えない」は、日本人にとっては言うまでもないことなので、蛇足に思えるかもしれません。
けれども、“大東亜戦争の戦勝国の指導層及び国民にとっての常識、モノの見方・考え方、価値観” に照らして考えれば、彼らは、今でも内心では “日本国民はひそかに復讐心を抱き続けて当然だ” と考え、日本への警戒心を完全には捨て去ることができないでいるのではないでしょうか? だからこそ、国際連合憲章の敵国条項がいまだに撤廃されないでいるではありませんか?!
したがって、「5.」の「国際連合憲章の敵国条項の撤廃」を実現させるためにも、「4.」を宣言に含める意義がある、と考えています。
※2025年2月20日付け改訂内容
『日本国平和国家宣言』(試案)の「3.」を下記(の赤字)のように改めました。
それは、私の意見を一部修正したからではなくて、より正確に述べるために詳しい説明を追加したものです。
記
3.出入国管理及び移民政策については、不法移民対策(流入の阻止及び排除)を推進する一方で、世界の模範となる十分な社会統合政策の提供体制(能力)の範囲内で移民を受け入れて「日本人の心」と「地球市民の心」を兼ね備えた教育を行い、「新たな国民」を生み出すという共生社会の実現に尽くすこと