7月5日は、深海の恵みである「穴子」を讃える特別な日です。この日が「穴子の日」と称されるのは、「7」(なな)と「5」(ご)の日付を組み合わせ、”なな(穴)ご(子)” という語呂合わせから生まれました。
穴子は、海底の穴に生息することからその名がつけられ、ウナギ目アナゴ科の魚類の一種で、日本では主にマアナゴが穴子として親しまれています。
ところで、この美味しい海の生き物は微かな危険も秘めています。穴子の血液に含まれる「血清毒」(注)は、刺身として穴子を楽しむことが少ない原因の一つです。けれども、この毒は熱に弱いので、60℃以上で5分以上の加熱を行うことで、毒は変性し無害化され、私たちの食卓に安心して並べられます。
私自身は関西出身なので、この日は穴子と似た海の贈り物、「鱧」についても思いを馳せます。甘みとしっとりとした食感が特徴の鱧は、穴子よりも高度な「骨切り」技法を必要とします。この特別な技術を持つ関西地方では、鱧は湯引きや鍋物として定番の一品とされています。
「穴子の日」は、穴子と鱧という海の恵みを深く理解し、感謝する絶好の機会です。これらの魚がもたらす食材の多様性と料理の可能性は、海が私たちに開く無限の可能性を象徴しています。その独特の風味とさっぱりとした味わいから、穴子は天ぷらや寿司として多くの人々の食卓を彩り続けています。
(注)穴子の血清毒が目や口に入ると激しい灼熱感や粘膜の発赤が発症し、また、傷口に入ると炎症や化膿、浮腫などが引き起こされるそうです。なお、正しくしっかり血抜きを行って毒素を取り除けは、刺身で食べることもできるそうです。