訪れる者の心を魅了する滋賀県の “湖国三大祭” のひとつ、『大津祭』。この祭りが持つ深い魅力の背後には、大津市の歴史と、町衆文化の息づく背景が隠れています。
大津祭の基本情報
国指定重要無形民俗文化財として認知される『大津祭』。2023年は、10月7日(土)に宵宮、10月8日(日)には本祭が予定されています。祭りの舞台となるのは、大津市の中心部にある京町三丁目の天孫(四宮)神社。ここで繰り広げられる祭典は、京都祇園祭の風情を持ちつつ、13基の曳山が登場します。その各曳山の上には、緻密な技術で作られたからくり人形が、その技を披露し、これが大津祭独特の魅力となっています。
大津市中央部の歴史的背景
では、『大津祭』がこれほどまでに魅力的とされる理由は何でしょうか。答えは大津市の中央部の歴史にあるようです。
大津市は、1898年(明治31年)10月1日、滋賀郡大津町から市制施行を経て誕生しました。その起源となった大津町は、かつて豊臣政権下で築かれた大津城が立地しており、関ヶ原合戦を経て、城下町から商業都市へと進化を遂げました。この都市は、江戸幕府の直轄地、すなわち天領として、東海道の宿場町や琵琶湖の港町としての役割を果たしていました。また、園城寺(三井寺)の門前町としても繁栄し、多くの人々の足を引き寄せていました。
町衆文化の繁栄と大津祭の発展
17世紀末、元禄時代に突入すると、大津は産業や貨幣経済の発展を迎え、さらなる都市としての向上を遂げました。この時期の大津には百カ町が存在し、約一万八千人が暮らす大都市となりました。このような繁栄の中で、町衆文化がさらに栄え、高い文化水準を持つ『大津祭』がその発展を遂げたのです。
この町衆文化の栄華を今日まで伝えている大津祭は、歴史的背景とその独自の魅力を融合させ、多くの人々から親しまれています。



