はじめに
2025年4月から開催予定の「大阪・関西万博」が、過去の日本での国際博覧会と比べて人気が低迷している原因や背景については、以下の要因が考えられます。
(1)インフラ整備の遅れ
建設業界全体の人手不足や資材価格の上昇により、海外パビリオンの建設や会場インフラ整備に遅延が生じています。これにより、万博の準備が計画通りに進まず、来場者の期待感が低下している可能性があります。
(2)労働力不足と賃金上昇
物価高や人手不足を背景に、労働組合が高水準の賃上げ要求を掲げる動きが広がっています。これは、万博関連のサービス業や運輸業における人手不足をさらに深刻化させ、来場者へのサービス提供に影響を及ぼす可能性があります。
(3)交通手段の制約
万博開催期間中の来場者数に対して、現状の公共交通機関だけでは対応が難しいとされています。そのため、ライドシェアやタクシーの規制緩和が検討されていますが、これらの対応が十分でない場合、来場者の利便性が損なわれる可能性があります。
けれども、これらの要因よりも深刻な要因があるようです。
時代とのズレ
近年、万博のような大規模なイベントへの関心が相対的に低下し、人々の価値観が多様化しています。特にデジタル技術が発展し、オンライン体験が充実する中で、「物理的に会場へ足を運んで世界の技術や文化を体験する」という万博のコンセプトが、現代のライフスタイルに必ずしもマッチしていないと感じる人が増えています。しかし、大阪・関西万博の推進者は、こうした変化を十分に考慮せず、1970年の大阪万博の成功体験を引きずったまま計画を進めた可能性があります。
マスコットキャラクターの違和感
大阪・関西万博の公式キャラクター「ミャクミャク」は、一部の人々には個性的でユニークと評価される一方で、多くの人からは「奇妙」「不気味」といった反応が見られます。特に、親しみやすさや万人受けするデザインとは異なり、独特のビジュアルがかえって一般の関心を引きにくくしているとの指摘があります。過去の万博キャラクター(例えば1970年の「太陽の塔」や2005年愛知万博の「モリゾーとキッコロ」)と比較すると、大衆受けする要素が不足していると言えるでしょう。
「空飛ぶクルマ」の違和感
大阪・関西万博の目玉プロジェクトの一つとされた「空飛ぶクルマ」は、実際には従来のヘリコプターに近い仕様であり、根本的な技術革新があるわけではありません。それにもかかわらず、「空飛ぶクルマ」という名称が繰り返し使われていることで、「実態と宣伝が乖離している」という不信感が広がっています。こうした表現は、多くの人に「大げさな宣伝ではないか?」という疑念を抱かせる要因となっている可能性があります。
マスコミによる情報統制への不信感
大阪・関西万博に関する報道のあり方も、一般の不信感を招いている要因の一つです。万博の準備や費用に関する批判的な意見がSNSなどで頻繁に見られる一方で、マスメディアではこうした批判的な報道が少なく、むしろポジティブな情報ばかりが目立ちます。その結果、「情報が意図的にコントロールされているのではないか?」という疑念を持つ人が増え、反民主主義的な情報統制と受け止める声も聞かれます。特に、国民の税金が使われるプロジェクトである以上、より開かれた議論が行われるべきだという意見が強まっています。
熱中症リスクの全来場者への影響
2025年の大阪・関西万博において、会場設計上の屋外エリアの多さから、熱中症リスクが懸念されています。
(1)対策の後手後手感
主催者側は休憩スペースの確保や無料の給水ポイントの増設といった対策を講じていますが、これらの対策は問題が顕在化してからの「泥縄式」の対応であり、計画段階からの十分な準備が欠けているとの指摘があります。
(2)収容能力の不足
予想される大量の来場者に対して、休憩スペースや給水ポイントの数が不足しており、実際の運用時に混雑や利用困難が生じる可能性が懸念されています。
熱中症は高齢者や子どもだけでなく、全ての年齢層においてリスクが存在します。特に、炎天下での長時間の活動や混雑した環境では、その危険性が高まります。万博のような大規模イベントでは、多数の来場者が予想されるため、熱中症対策は極めて重要です。
結論
大阪・関西万博の低迷には、単なる経済的・インフラ的な問題だけでなく、時代の変化への適応不足、不自然なPR戦略、情報発信のあり方への不信感が大きく影響している可能性があります。加えて、熱中症対策の不備は来場者の安全を脅かす要因となりかねません。こうした状況の中で、今後は、より透明性の高い情報公開や、現代のニーズに即したイベント設計が求められるでしょう。