夏の盛り、「大暑(たいしょ)」がやって来る。
2025年の暦では、7月22日がその初日にあたる。
「大暑」とは、二十四節気のひとつで、一年のうちでもっとも暑さが厳しくなる頃を意味している。よく誤解されがちだが、こうした節気は単なる “日付” ではなく、“期間” を指すものだ。たとえば今年の大暑は、7月22日から次の節気「立秋」の前日である8月6日まで。この2週間が、文字どおりの「酷暑のさなか」ということになる。
この時期、都市部では連日の猛暑が続き、アスファルトの照り返しやビルの熱気が容赦なく体力を奪っていく。冷房の効いた屋内と外気の温度差は10度以上になることもあり、知らず知らずのうちに自律神経も疲弊してしまう。無理せず、しっかり休みながら過ごすことが、何より大切だ。
とはいえ、ただ「暑い」「しんどい」と嘆くだけでは、夏が味気ないものになってしまう。
ふと足を止めて、季節の気配を感じる工夫をしてみると、暑さの中にも豊かな情緒が息づいていることに気づかされる。
たとえば、駅前の花屋に並ぶヒマワリや朝顔。道ばたに咲く夾竹桃。公園に立ち寄れば、セミの大合唱が耳に飛び込んでくる。ミンミンゼミ、アブラゼミ、時折ツクツクボウシ。自然の音に身を委ねると、忙しない都会の時間の流れが、ふと緩やかになる。
麦茶も、そんな “季節のある暮らし” を感じさせてくれる一つだ。
最近では、水出し用の麦茶パックが主流になり、夜のうちに冷水ポットにパックを入れて冷蔵庫に入れておくだけで、朝には香ばしい麦茶が出来上がる。
朝は白湯で体を整えることを習慣にしている私にとって、冷たい麦茶は日中の暑さの中での「ひと息タイム」の味方だ。
仕事の合間や帰宅後に口に含むその一杯が、火照った体と気持ちをゆっくりと落ち着かせてくれる。
もちろん、夏を楽しむには健康あってこそ。
熱中症の予防には、こまめな水分補給と塩分摂取、適切な冷房の使用が欠かせない。無理をせず、日中の外出を避ける工夫も重要だ。
それでも、そんな対策の中にも、自分らしい「季節の楽しみ方」をひとつでも見つけておけたら、夏の記憶はきっと少しやさしいものになる。
夕暮れ時、ベランダに風鈴を吊るしてみるのもおすすめだ。
カラン、と鳴る涼やかな音に、都会の喧騒がふっと遠ざかるような気がする。
季節感を取り戻すということは、自然とともにある時間の流れを感じるということ。
大暑のこの時期、小さな「夏のしるし」を、あなたの暮らしの中にもそっと見つけてみてはいかがだろうか。