『【前編】命の危険が伴ういじめと証拠保全の法的問題――校則と刑法、どちらが優先されるのか』、
『【後編】命の危険が伴ういじめと証拠保全の法的問題――学校の安全配慮義務といじめ防止対策推進法』
では、命の危険が伴ういじめと証拠保全の法的問題について解説しました。
本稿では、保護者の立場から、
「実際に何をすべきか」 を整理します。
感情的に動くのではなく、
子どもの命と将来を守るために、冷静に、戦略的に動くことが重要です。
最優先は「子どもの安全確保」
まず最優先は安全です。
・登校を無理に継続させない
・医療機関の受診を検討する
・心理的ケアを確保する
自傷リスクや深刻な精神状態が疑われる場合は、学校問題よりも安全確保を優先します。
法的議論はその後です。
証拠は「消さない」「加工しない」「拡散しない」
証拠の扱いは非常に重要です。
■ やるべきこと
・元データを保存する
・バックアップを取る
・日時・状況を記録する
・スクリーンショットやメモを残す
■ やってはいけないこと
・SNSで公開する
・感情的に拡散する
・編集・加工する
公開してしまうと、名誉毀損やプライバシー侵害の問題が生じる可能性があります。
証拠は、「武器」ではなく「盾」として扱うべきです。
学校への伝え方
学校に相談する場合、重要なのは「感情」ではなく「記録」です。
・いつ
・どこで
・何が起き
・どんな被害が生じたか
を整理して伝えます。
また、
・面談は複数人で臨む
・会話の日時を記録する
・可能であれば書面やメールでやり取りを残す
ことが重要です。
後に紛争化した場合、記録が決定的意味を持ちます。
いじめ防止対策推進法を理解する
いじめ防止対策推進法は、
学校に対して「調査義務」を課しています。
重大事態が疑われる場合、
・学校は事実関係を調査する義務がある
・結果を保護者に説明する責任がある
とされています。
「調査してほしい」と求めることは、権利の行使であって、クレームではありません。
警察に相談すべきケース
次のような場合は、警察相談も選択肢になります。
・暴行・傷害がある
・明確な脅迫がある
・金銭要求がある
・自殺をほのめかす状況がある
少年事件であっても、違法行為であることに変わりはありません。
「学校内のことだから」と躊躇する必要はありません。
弁護士への相談
以下の状況では、早期に専門家へ相談することが望ましいです。
・学校が事実を認めない
・証拠消去を求められた
・調査が進まない
・精神的被害が深刻
初回相談だけでも、方針が整理されます。
処分よりも大切なこと
感情的には、
「加害者を処分してほしい」
と思うのは当然です。
しかし最優先は、
・子どもの安全
・心理的回復
・再発防止
です。
処分は結果であって、目的ではありません。
最後に
命に関わるいじめは、
単なる学校トラブルではありません。
・刑法に触れ得る問題
・学校の安全配慮義務の問題
・いじめ防止対策推進法上の重大事態
に関わる可能性があります。
しかし、保護者が焦って動けば、
かえって子どもに二次被害が及ぶこともあります。
大切なのは、
冷静に、証拠を守り、順序を守って動くこと。
そして何より、
子どもに「あなたの味方だ」と伝え続けることです。
