テレビ番組を見て、
「これは放送法違反だろう」
「こんな偏向番組が許されるのはおかしい」
と感じたことはないでしょうか。
たとえば、TBSの
サンデーモーニング(サンモニ)についても、
出演者の発言内容や構成を理由に「明らかに偏っている」「違法ではないのか」という声がSNSで散見されます。
しかし――
怒りをぶつける前に、まず私たち大人が知っておくべき基本があります。
それは、「違法かどうか」と「信頼できるかどうか」は別問題であるということです。
放送法は「番組ごとの中立」を義務づけていない
放送法第4条1項には、
・政治的に公平であること
・意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること
と書かれています。
これだけ読むと、
一つの番組の中で左右を均等に並べなければならない
と思いがちです。
しかし、総務省の一貫した政府見解はこうです。
公平性は「個々の番組」ではなく、「放送事業者全体の番組編成を通じて」判断する。
つまり、
ある番組が特定の論調に見えたとしても、
局全体として多様な番組が存在すれば、直ちに違法とはならない。
ここは一般にはあまり知られていませんが、重要な法的前提です。
出演者が偏って見えることは、直ちに違法ではない
「出演者が特定の立場の人ばかりだ」という批判もあります。
しかし日本の放送法は、
・思想ごとの人数配分
・発言時間の均等割
といった “思想構成比率” までは規制していません。
そこまで国家が管理すれば、
逆に憲法21条の表現の自由を侵害しかねない。
編集権は、原則として放送局側にあります。
「気に入らない構成」=「違法」ではない。
これは冷静に押さえておくべき点です。
特定国を批判しないことは違法か?
「中国や韓国を批判しないのはおかしい」という声もあります。
しかし、特定の国を批判しないこと自体は違法ではありません。
違法になるのは、
・虚偽報道
・名誉毀損
・著しい公益侵害
といった場合です。
論調やテーマ選択の問題と、法違反は別次元の話です。
では問題はないのか?――信頼という本質
ここが本質です。
形式的に適法であっても、実質的に偏っていると感じられれば、信頼は損なわれる。
今、テレビに対する不信が広がっている背景には、
「法律を守っているか」よりも
「公正だと感じられるか」
という問題があります。
法的にアウトでなくても、
視聴者が「偏っている」と感じるなら、
それは経営上・社会的信頼の問題です。
現実的かつ有効な手段は何か
「違法だ」と騒ぐことは、法的には成立しにくい。
ではどうするか。
答えは極めてシンプルです。
スポンサー企業に、視聴者としての懸念を理性的に伝えること。
民放は広告収入で成り立っています。
スポンサーにとって最重要なのは企業イメージです。
ここで重要なのは、
・感情的に罵倒しない
・脅迫的な不買宣言をしない
・冷静に“疑問”を伝える
という姿勢です。
これは言論弾圧ではありません。
国家介入でもありません。
市場原理の中での、消費者の正当な意思表示です。
スポンサーに送る理性的テンプレ文
以下は一例です。
件名:番組スポンサーとしてのご姿勢についてのご意見
○○株式会社 ご担当者様
平素より貴社製品・サービスを信頼し利用しております。
さて、貴社がスポンサーを務めておられる
サンデーモーニングについて、
番組内容が特定の政治的立場に偏っているのではないかとの印象を受けました。
放送法上ただちに違法とは言えないことは理解しておりますが、
視聴者としては、公平性への疑問を感じております。
企業イメージとの関係も含め、
スポンサーとしてどのようなお考えをお持ちなのか、
ご説明いただければ幸いです。
今後とも貴社の発展を願っております。
ポイントは、
・敬意を示す
・事実誤認を避ける
・断定しない
・説明を求める形にする
これが最も効果的です。
怒りを、成熟した行動へ
「違反だ」と叫ぶことは簡単です。
しかし、
・法制度を知る
・違法と不信を区別する
・冷静に影響力を行使する
この姿勢こそが、主権者としての成熟です。
法律知識は怒りを消すためにあるのではありません。
怒りを、より効果的で、より品位ある行動へ変えるためにあるのです。
