日本のプロ野球(NPB)は、50年前、40年前、30年前と比較すれば、トレーニング方法やデータ分析、選手育成の体系化などを背景に、長期的に見て着実にレベルアップしてきたといえる。
しかしながら、世界最高峰リーグであるアメリカ合衆国の メジャー・リーグ・ベースボール(MLB)と比較すると、トップ選手がMLBへ流出する構造などもあり、リーグ全体の選手層という意味では、依然として同レベルに達しているとは言い難い。
日本は ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で優勝回数が最多ではあるが、その結果をそのまま世界野球の実力序列とみなすことには慎重であるべきだろう。
WBCは短期トーナメントであり、代表チームの編成状況やコンディションの影響を受けやすい大会でもある。
実際、各国が常に最強メンバーを揃えているとは限らない。
例えば 米国代表は、優勝した2017年大会ではMVP級の野手を多数揃えた比較的充実した戦力であったが、決勝で日本に敗れた2023年大会では打線こそ非常に強力だったものの、投手陣は必ずしもMLBのトップクラスが揃っていたとは言い難かった。
一方、日本が優勝できなかった2013年大会で優勝した ドミニカ共和国代表 は、MLBオールスター級の打線に加え、守備力・パワー・スピードを兼ね備えた極めて完成度の高いチームであり、8戦全勝で優勝するなど大会史上でも特筆すべき戦力であった。
このことを踏まえると、今後、米国やドミニカ共和国をはじめ、MLB在籍選手の多い国々が、MVP受賞経験者などを含むMLBのトップクラスの選手を中心に代表チームを編成できた場合、日本代表が優勝する難易度はこれまで以上に高くなる可能性がある。
そうした意味で、2026年大会において日本代表が準々決勝で敗退したことは、日本野球の実力を過度な楽観でも過度な悲観でもなく、改めて等身大で見つめ直す契機として受け止めることができるのではないだろうか。
日本野球は確実に強くなった。
しかし、世界の頂点であり続けるためには、常に「世界最高レベルとの距離」を意識し続ける必要がある。
WBC優勝最多の日本野球、その実力をどう見るべきか――NPBとMLBの距離を冷静に考える
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