朝目覚めると、まず枕元のカレンダーを眺める。そこには「和菓子の日」と書かれている。それに思いを馳せて、昨夜見た夢を思い出す。
その夢の舞台は、地元であることは間違いないが、まだ訪れたことのない裏道にある未知の和菓子屋さんだった。店先には初夏を代表する紫陽花が鮮やかに飾られており、店内ではその紫陽花をかたどったあじさい饅頭が目を引く。夢であるとはいえ、その和菓子の一つ一つから季節感を感じ取ることができ、心は引きつけられた。
夢の中で店主と交わした会話が蘇る。彼女は、季節ごとに変わる和菓子を通じて、お客様一人一人に一年間の季節の移り変わりを楽しんでいただきたいと優しく語った。その言葉が示す通り、現実でも一つの和菓子から地元の風情や季節感を感じることができるだろう、と私は改めて認識した。
目覚めた今、思い返す。なぜ和菓子の日が6月16日に定められたのか、その由来を。それは西暦848年の夏、仁明天皇が御神託に基づき、6月16日に16の数にちなんだ菓子や餅を神前に供え、疫病を除き健康を祈願し、「嘉祥」と改元したことから来ている。我々が現在、和菓子の日を祝うのは、このような歴史的背景があるからなのだ。
今日は6月16日、「和菓子の日」。夢の中で味わった感動を現実でも再現したい。そこで私は地元の和菓子屋さんへと足を運び、手作りの和菓子を味わうことに決めた。そして、目の前の和菓子を通じて、夢で感じた季節感や地元の風情を再び感じてみる。これが、今年の「和菓子の日」の私流の過ごし方だ。