日本の人口対策:少子化対策と『日本型移民政策』の重要性

日本の人口問題とその深刻性

総務省の2023年4月12日発表によれば、2022年10月1日時点の外国人を含む総人口は、前年と比べて55万6000人少ない1億2494万7000人でした。これは12年連続の人口減少を示しており、労働力不足に対する生産性の向上が急務となっています。また、2年ぶりに増加した東京都を除いた全国46道府県で人口が減少し、沖縄県も1972年の本土復帰以降初めて人口減少を記録しました。日本人の人口は1億2203万1000人で、減少数は75万人となり、比較可能な1950年以降で最大の落ち込みを示しています。これらのデータは、日本の人口問題が深刻化していることを如実に示しており、迅速かつ効果的な対策が求められています。

少子化対策の必要性とその長期的視点

仮に出生率が急上昇したとしても、新生児が生産年齢人口に達するまでの年数を考えると、少子化対策は即効性を期待できるものではありません。したがって、これらの対策は中長期的に継続して実施する必要があります。つまり、短期的な成果だけを追求するのではなく、長期的な視点で人口問題に取り組む必要があります。

移民政策の必要性とその即効性

上述の少子化対策と同時に、即効性が期待できる人口対策が求められます。その一つが、外国人を初めから定住を前提に移民として受け入れるという対策です。移民としての受け入れには、人口問題の解決だけでなく、新たな文化や知識の導入、経済活動の活性化など多くのメリットがあります。

坂中英徳氏提唱の『日本型移民政策』の具体化

『日本型移民政策』(注)とは、坂中英徳氏が提唱する考え方で、私は、これを基にした具体的な対策を提案します。しかし、坂中氏が提唱する「今後50年間で2千万人の移民受け入れ」は見送りとします。そして、移民として外国人の受け入れを20年を目安に実施することを提案します。この期間は一定ではなく、実際の政策効果やデメリットの極小化の実現状況を検証しながら、5年後や10年後に見直しを行い、その結果次第で期間を短縮したり、逆に延長する可能性も考慮します。このような柔軟性を持つことで、移民政策をより効果的かつ実用的に運用することが可能となります。

(注)詳しくは、過去の記事(主なものは次の三つ)を参照願います。
〇2023年1月28日付け『日本は移民国家? これさえ押さえれば完璧 その6「あなたは『日本型移民政策』の概要と “急所” を正しくご存じですか?」』
〇2023年2月24日付け『日本は移民国家? これさえ押さえれば完璧 その8「なし崩し的な移民受け入れ拡大に終止符を打ち、移民政策を政治的課題として有権者が選択できるようにするためには」』
〇2023年6月10日付け『坂中英徳氏提唱の『日本型移民政策』:その特性と実施手法に世界が注目』

新たな移民法制定と社会統合政策の提供

『日本型移民政策』に基づいて、新たに「移民法」(仮称)を制定し、そのもとで毎年の「年次移民受け入れ基本計画」(内閣が策定し、国会の承認を必要とするもの)を策定します。社会統合政策とは、十分な日本語教育、日本文化や日本の諸制度についての教育、職業訓練の提供等を指します。提供可能な人数の範囲内で、毎年の移民受け入れを計画する産業分野、地方自治体、国籍別受け入れ人数枠等を定めることが求められます。

現行の外国人受け入れ政策の課題

現行の外国人受け入れ政策は、入国許可時点で移民として受け入れるものでない一方で、結果としての定着化、移民化を阻止するものでもないため、社会統合政策が後手に回る可能性があります。そのため、外国人受け入れに伴うデメリットが小さくないことが指摘されています。

『日本型移民政策』によるデメリットの極小化

初めから移民として、そして日本独自の “新たな国民” を生み出すための育成型の『日本型移民政策』なら、充実した社会統合政策と一体となり、外国人受け入れに伴うデメリットを極小化することができます。これにより、人口減少という深刻な課題に対して、効果的かつ実用的な対策を講じることが可能となるのです。

※後日(2026年1月19日)の追記:人口減少対策に「特効薬」は存在しない――複合的・中長期的視点から見た移民政策の位置づけ

本稿を公開して以降、私の意図とは異なる形で、「移民政策を人口減少対策の決定打として位置づけている」と受け取られる向きがあることを知りました。誤解を避けるため、ここで私の真意をあらためて明確にしておきたいと思います。

結論から述べれば、人口減少対策に、これ一つで問題が解決するような“特効薬”は存在しません。
少子化対策、労働生産性の向上、地方社会の再設計、家族政策、教育・雇用制度の改革など、考え得るあらゆる手段を同時並行的に、かつ中長期的な視野で粘り強く講じていくほかない、というのが私の基本認識です。
とりわけ少子化対策は重要ですが、仮に政策効果が現れたとしても、それが労働力人口の回復として顕在化するまでには、どうしても時間を要します。したがって、中長期的対策が「じわじわと効いてくる」までの間、日本社会が直面する急激な人口減少と労働力不足に、何の対応もしないという選択肢は現実的ではありません。

この文脈において、私が提起している『日本型移民政策』は、
人口減少対策の「主役」でも「万能解」でもなく、あくまで「時限的・補完的な政策手段」
として位置づけられるものです。
すなわち、
・中長期的には少子化対策や社会構造改革を主軸とする
・その効果
が現れるまでの「つなぎ」として
・無制限・無原則な受け入れではなく
・制度設計と社会統合を前提に
・抑制的かつ検証可能な形で

移民受け入れを行うべきだ、という考え方です。
この意味で、本稿で提案している「20年を目安とする移民受け入れ」も、あらかじめ恒久化を前提としたものではありません。政策効果や社会的影響を検証し、状況次第では縮小・終了も含めて見直す――「出口」を意識した政策設計であることが不可欠だと考えています。

人口減少という問題は、感情論やイデオロギーで語るにはあまりにも重く、現実的な影響が大きい課題です。だからこそ、「賛成か反対か」という単純な二項対立ではなく、どの政策を、どの程度、どの期間、どのような条件のもとで用いるのかという、冷静で現実的な議論が求められているのだと思います。
本稿が、そのような建設的議論の一助となれば幸いです。

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