不可避な現実:移民の存在
日本が平和時に鎖国政策を実施することは、実質的に不可能であり、永住許可や帰化の制度を廃止することも非現実的だと認識する必要があります。それゆえ、初めて来日する外国人が初めから移民目的でない場合でも、日本での滞在年数が増えるにつれて定住化の傾向が見られ、移民として認知される現象は、今後も続くと予測されます。
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2023年1月9日付け『日本は移民国家? これさえ押さえれば完璧 その1「米国のような移民制度のない日本に、なぜ移民がいて、増えていくのか?」』
2023年1月9日付け『日本は移民国家? これさえ押さえれば完璧 その2「日本が今後とも米国型の移民制度を設けずにいても、外国人の定住化そして移民化を “皆無” にはできない」』
2023年1月10日付け『日本は移民国家? これさえ押さえれば完璧 その3「どのようなタイプの外国人がより定住化、移民化しやすいのでしょうか?」』
必要な取り組み:社会統合政策
この避けられない現象に対して、在留外国人を隔離する政策ではなく、社会との統合を促す政策が求められます。社会統合政策の主軸は、外国人への言語教育と適切な職業訓練・就職支援であるべきです。欧米諸国における外国人問題・移民問題の大きな要因の一つは、社会統合政策が不十分であったり、遅れて取り組まれたりしたこと、または、避難民や経済難民が大量に急速に流入したことだったのです。
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2023年2月23日付け『日本は移民国家? これさえ押さえれば完璧 その7「移民化する外国人がいる以上、最大の争点は、移民の増加状況に対応できるだけの社会統合政策の実施体制の確保の有無!」』
主要な議論の焦点:移民受け入れと社会統合政策の整合性
外国人受け入れ政策における主要な議論の焦点は、①どの産業分野、業種、職種等に、どの国から、どの程度の人数を、どのようなペースで受け入れるか、及び②移民として受け入れるための社会統合政策を策定し、実施する必要性です。その受け入れ規模と社会統合政策の実施能力のバランスをどのように保つかが問われます。
冷静な議論へ:センセーショナリズムを超えて
移民受け入れに反対する一部が、外国人による犯罪や不祥事を過剰に訴える行為は、冷静な議論を妨げます。私たちは30年後の日本人口の自然減とAIやロボットがすべての労働を置き換えられない現実を直視すべきです。この状況を踏まえ、生産年齢人口の急激な減少に対する多角的な対策の一つとして、外国人の受け入れの必要性を理解するべきです。
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2023年6月19日付け『日本の人口対策:少子化対策と『日本型移民政策』の重要性』
結論:二項対立的な「全てまたは無し」の視点ではない、移民受け入れ政策
以上の議論から明らかなように、外国人の受け入れ政策は「賛成か反対か」、「全てか無し」の二項対立的な問題ではないのです。冷静な議論を通じて、移民受け入れ政策の重要な問題点を明らかにし、社会統合政策との調和を見つけ出すことが必要です。外国人受け入れ政策は、これからも続くであろう移民現象に対する日本社会の対応策となるべきであり、それは私たち全国民の責務となります。そのために、冷静な議論を一刻も早く始める必要があるのです。
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2023年2月24日付け『日本は移民国家? これさえ押さえれば完璧 その8「なし崩し的な移民受け入れ拡大に終止符を打ち、移民政策を政治的課題として有権者が選択できるようにするためには」』
2025年3月14日付けの追記
日本国は、好むと好まざるにかかわらず、れっきとした移民受け入れ国です。
第一に、2013年1月19日付け投稿記事『日本は移民国家? これさえ押さえれば完璧 その5「今現在の日本にとっての移民の社会統合政策の必要性とは?」』の冒頭で述べましたように、
日本が仮に、今後もうこれ以上積極的には外国人の受け入れをしないように方針変更をする場合であっても、既に受け入れてしまっている移民や、中長期在留外国人のうちの移民予備軍的存在の者に対する社会統合政策(ないし共生政策)が必要です。
第二に、2023年2月24日付け投稿記事『日本は移民国家? これさえ押さえれば完璧 その8「なし崩し的な移民受け入れ拡大に終止符を打ち、移民政策を政治的課題として有権者が選択できるようにするためには」』で述べましたように、
年間当たりの移民受け入れ人数の上限は、国内の需要を最優先して決めるのではなく、社会統合政策の実施体制(移民に対する教育・支援の提供能力)に合わせて決めることを厳守して当然だと考えます。国内の需要を踏まえて年間当たりの受け入れ人数の上限を引き上げようとするのであれば、その前提として社会統合政策の実施体制を拡充させるのです。
ちなみに、参政党の神谷代表は、YouTubeの動画チャンネル「ChGrandStrategy」 の2025年3月の投稿動画『今 日本語が荒れている!? 日本語のルーツ「大和言葉」とは|林英臣」』のなかで、
「参政党は外国人が嫌いじゃないんです」「別に「外国人は追い出せ」とはそんなことは一切言っていない」「急激に受け入れると同化ができないから」「いきなり何十万人も何百万人も受け入れたら社会が混乱するでしょう」
とおっしゃっていますが、私も全く同感です。
私自身、同じような思いから、2023年2月24日付け投稿記事『日本は移民国家? これさえ押さえれば完璧 その8「なし崩し的な移民受け入れ拡大に終止符を打ち、移民政策を政治的課題として有権者が選択できるようにするためには」』のなかで、
「最初の5年間?程度をいわば助走期間に設定して、『年次移民受け入れ基本計画』の一年間当たりの移民受け入れ総数枠を1桁の万単位に留めることで社会統合政策の実施体制の構築が後手に回らないようにし」て、実施体制の構築ぶりを確認したうえで、移民及び移民予備軍の受け入れ人数は社会統合政策の提供可能な人数規模に厳格に抑えるべき旨を述べたのです。