立春を “暦の上では今日から春” ととらえるのはもう古い?!

四立(しりゅう)と土用

「四立」(しりゅう)とは「立春」、「立夏」、「立秋」、「立冬」の総称です。「立春」、「立夏」、「立秋」、「立冬」は、それぞれ暦の上では春、夏、秋、冬の季節の初日ということになっています。

一方、「土用」とは、鰻を食べる習慣があることで夏の土用の丑の日がよく知られていますが、「春の土用」、「夏の土用」、「秋の土用」、「冬の土用」と四つあります。それぞれ、「立夏」、「立秋」、「立冬」、「立春」の直前の約18日間の期間を指しています。
土用の初日を「土用入り」、最終日を「土用明け」と言います。

今年2023年は、「冬(の)土用」が1月17日から2月3日まで、「春(の)土用」が4月17日から5月5日まで、「夏(の)土用」が7月20日から8月7日まで、「秋(の)土用」が10月21日から11月7日までで、それぞれの土用明けの翌日が2月4日立春、5月6日立夏、8月8日立秋、11月8日立冬です。

土用と四立それぞれの言葉の意味と現実の季節感とのズレ

四立のうちの立春を例としてお話しします。
立春の日には、テレビのニュースで「今日は立春です。暦の上では今日から春ですが………」と決まり文句のように耳にします。けれども、まだ2月上旬、冬真っ盛りですよね。

立春を「今日から春が始まる日」と捉えることに対する違和感から、私はもう何十年も前から、秘かに次のような自己流の解釈をしています。

自己流の、でも現代版の解釈

まず、土用についてですが、現実の気候、季節の移り変わりに照らし合わせてみれば、土用の期間(約18日間)は、春夏秋冬の各季節の盛りの期間です。つまり、冬の土用は冬の真っ盛り=盛冬の時期なのです。そして、冬の土用の期間を過ぎた翌日の立春は、次のように解釈します。“季節という道” は、冬の峠を過ぎてこの先は春へ向かう下り坂になっていて、これから一日一日徐々に春に向かって近づいていく、その意味で春の気配立ち始める立春」である、と捉えるのです。

以上の解釈は、言うまでもなく自己流の解釈ですが、けれども、実際の気候、季節の移り変わりに照らし合わせてみれば、この解釈のほうがよっぽど現実的でふさわしい妥当な解釈ではないでしょうか?

言葉の意味は時代が変われば変わることもある

例示その一。「女房」という言葉。元々の意味は「平安時代から江戸時代頃までの貴族社会において、朝廷や貴顕の人々に仕えた奥向きの女官もしくは女性使用人。女房の名称は、仕える宮廷や貴族の邸宅で彼女らにあてがわれた専用の部屋に由来する。」(『ウィキペディア』より)でしたが、それが今では、夫が自分の妻を指す言葉の一つですよね。

例示その二。「ヤバイ」という言葉。「危ない、自分にとって不都合な事態が起こりそうな状況を表す」という意味ですが、こんにちでは若い世代を中心に、「凄くイイ」「魅力的」というような肯定的な使われ方も出てきていますよね。

「土用」という言葉も「四立」のそれぞれの言葉も、昔と今とで意味、使われ方が変わっても「あり」だ、と私は思います。

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