日米安全保障条約の真実:日本の未来を考える

日本の主権は本当に確立されているのか?

日米安全保障条約(正式名称「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約」。以下「日米安保条約」という。)は、日本の安全保障政策の根幹を成す条約であり、多くの日本国民が「平和を維持するために不可欠なもの」と認識しています。しかし、この条約の実態を深く掘り下げて考えると、日本の主権や防衛の在り方について、見過ごすことのできない重大な問題が浮かび上がるのです。

日本国内には在日米軍が駐留し、その存在が日本の安全を保証するかのように語られることが多いです。しかし、米軍が日本を守るという保証は、日米安保条約のどこにも明確に記されていません。むしろ、日米安保条約の実態は「米国の利益を守るための駐留」に他ならず、日本の主権が大きく制約されていることを意味しています。

米軍の「制空権」という現実

日本の領空は、日本の主権のもとにあるはずです。しかし、日米安保条約に基づき、米軍は首都圏を含む広範囲の領空において「事実上の制空権」を持っているのです。これは、日本の航空機であっても自由に飛行できない空域が存在することを意味し、日本の主権が制限されている証左なのです。

日本が「独立国」であるならば、自国の空を自国が管理するのが当然です。それにもかかわらず、米軍が実質的に日本の領空を支配しているという現実は、果たして真の独立国と呼べる状況なのでしょうか。

日米安保条約は「日本防衛」のためのものではない

多くの人が誤解しているのですが、日米安保条約は「米軍が日本を防衛する」ことを保証するものではないのです。この条約の根本的な目的は、「アメリカの戦略的利益の維持」であって、日本の防衛は二の次になっているのです。

確かに、日米安保条約第5条には「日本が攻撃された場合、米国は自国の憲法に従って行動を取る」と記されています。しかし、これは必ずしも米国が日本を防衛することを意味するものではありません。米国が「自国の利益に沿う」と判断しない限り、実際に日本を守る保証はないのです。具体的には、2010年9月に起きた沖縄県・尖閣諸島沖の漁船衝突事件の際、当時のクリントン米国務長官は尖閣諸島について「日米安保条約第5条の適用範囲だ」と明言し、その後、オバマ大統領(当時)も同様の考えを示しましたが、その一方で、韓国が実効支配している島根県の竹島に関しては「防衛義務は生じない」というのがこれまでの米国の立場なのです。

つまり、日本の防衛は日本自身が主体的に担うべきものであって、現在のように米軍に依存する体制は本来、独立国としては異常な状況だと言わざるを得ないのです。

※日米安保条約第5条の抜粋
第5条 各締約国は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従つて共通の危険に対処するように行動することを宣言する。
 前記の武力攻撃及びその結果として執つたすべての措置は、国際連合憲章第五十一条の規定に従つて直ちに国際連合安全保障理事会に報告しなければならない。その措置は、安全保障理事会が国際の平和及び安全を回復し及び維持するために必要な措置を執つたときは、終止しなければならない。

日米安保条約は「ソフトな軍事占領」?

このように考えると、日米安保条約の実態は、日本がアメリカの「ソフトな軍事占領」を受けている状態だと見ることができます。表向きは「同盟関係」に見えるのですが、実際にはアメリカ合衆国が日本の安全保障政策を左右し、日本の領空の管理権を持ち、日本の国防に対して主導的な影響力を持つという状況が続いているのです。

独立国家としての日本が本来持つべき防衛の主導権を取り戻すためには、この「ソフトな軍事占領」状態からの脱却が必要不可欠なのです。

トランプ政権の再来は日本にとってチャンスか?

2025年1月、米国ではトランプ政権が再び発足しました。ドナルド・トランプ大統領は以前から「アメリカ・ファースト」を掲げており、日本に対しても日米安保条約の見直しや、在日米軍の駐留経費の増額を求める可能性が高いと言われています。

日本国内では「トランプ政権が日米安保条約の廃棄をちらつかせながら、駐留経費の負担を増やそうとする」と警戒する声もあります。
しかし、視点を変えれば、これは日本にとって絶好の機会とも言えるでしょう。

実際、トランプ大統領は選挙期間中に「日本の真の独立」に言及しており、今後もし米国側が日米安保条約の破棄を示唆するならば、日本はむしろその機会を積極的に利用すべきではないでしょうか。

日米安保条約第10条の抜粋
第10条 この条約は、日本区域における国際の平和及び安全の維持のため十分な定めをする国際連合の措置が効力を生じたと日本国政府及びアメリカ合衆国政府が認める時まで効力を有する。
もつとも、この条約が十年間効力を存続した後は、いずれの締約国も、他方の締約国に対しこの条約を終了させる意思を通告することができ、その場合には、この条約は、そのような通告が行なわれた後一年で終了する。

これからの日本が選ぶべき道

では、日本は今後どのような道を歩むべきなのでしょうか。考えられる選択肢として、次の2つが挙げられます。

①永世中立国としての道を選ぶ
スイスやオーストリアのように、国際的に中立を宣言し、他国の軍事同盟に依存せず、自国の防衛力を強化する道があります。この場合、日本は独立国としての立場を明確にし、軍事的な主権を完全に取り戻すことができます。

②アメリカ合衆国と対等な内容の軍事条約を締結する
日米安保条約を破棄し、新たな対等な軍事同盟を結ぶことで、日本の防衛における主導権を確保するという道です。この場合、日本は自国の防衛戦略を自ら決定し、米国との関係を「従属」ではなく「対等なパートナー」として築くことが可能となります。

なお、上記①②のいずれを選択する場合であっても、このブログの2023年3月11日付け投稿記事『3月10日「東京都平和の日」に思うこと』の中で私が提唱した『日本国平和国家宣言』(試案)を国際社会に対して宣言すべきだと考えます。

メディアの報道に惑わされず、自ら考える時代へ

日本のメディアは、日米安保条約の問題について十分な議論を提供しているとは言い難いのです。「米軍がいるから日本は安全」という一方的な報道に疑問を持ち、日本国民として私たち自身が真実を見極める目を持つことが重要なのです。

これからの日本が独立国としての真の道を歩むために、日米安保条約の実態を冷静に分析し、どのような未来を選択すべきか、私たち一人ひとりが真剣に考えるべき時ではないでしょうか。

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