「お金(大金)は人を変える」-あなたは肯定派? 否定派?

はじめに

「お金は人を変える」。「出世は人を変える」。「権力は人を堕落させる」。
これらは昔からよく言われる言葉ですが、正しくはどういうことなのか、あなたはじっくり考えてみたことがおありでしょうか?

話の前置きとして:有名人の語録から

力があって自制しているのが徳の根元である」(日下 公人(評論家 作家))
『優しさ』とは、立場の強い者が、弱い者の目線に降りていって立場の強さを行使しないこと」(小林 正観(著作家))

ツイッターで見つけたあるツイート

私が去年、ツイッターで見つけて感心したあるツイートの内容を私なりに要約して紹介します。

「コロナ関係でマスコミによく登場するようになっていて、マスメディアの意向に沿った発言をしているに違いないようにみえる専門家たちも、コロナ禍になる前までは殆どが立派な人物だった。何が彼らを変えたのか? それはお金ではなくて、これまでの人生において浴びたことのない強烈なスポットライト。マスメディアの意向に沿った発言をし続ければ、この晴れやかな舞台に立ち続けることができる」

なるほど、「晴れやかな舞台に立ち続けられること」も、ある種の “力” を手にしたことと同じなんですね。

“力” が「人を変えてしまう」のではなくて「人間性をさらけ出させてしまう」

「お酒は人を変える」という言葉があります(ありました?)が、さすがにこんにちではこの言葉を信じる人は昔ほど多くはないと思います。

お酒を(その人のリミットを超えて)飲み過ぎると、共感力や理性が変わることがあります。記憶力が落ちることもあります。でも、お酒のせいでその人の道徳観まで変わることはありません。その意味で、お酒は人(の本性)を変えません。その人の本性を現すだけなのです。

「非常事態になるなどで究極的な状況に追い込まれると、人間の本性が現れる」と言われていますが、そういうケースだけではなくて、人間とは、財力、自分が所属する組織内での人事権その他の権力など、要するに他を圧倒できる “力” を持つとその人の本性が出やすくなる、ということなのです。

例えば、「財力(大金)」という “力” 。宝くじ、保険金、相続などで急に大金を手にした人の中には人生を狂わせてしまう人が多いと言われていますが、大金が人を変えてしまって不幸にするのではなくて、その人の人間的成長、精神修養のレベルが追いつかずに、その人の隠れていた本性、その人の人間性の弱点が出てしまった結果として人生が狂ってしまうのである、と私は理解しています。

本性の良し悪しの個人差の決め手は何? 人間的成長の “カギ” となるものは何?

ところで、この記事を読んでくださっているあなたは、自分は本物の、筋金入りの善人だという自信をお持ちですか?

私は、そうでありたいと強く願っていますが、残念ながら、100%の自信はありません。

「単に犯罪歴、非行歴等がないという意味での善人」と「正真正銘の善人」は似て非なる存在です。

前者は、要するにフツーの人のことです。フツーの人はそもそも大それたことをする “力” を持っていないから、(たとえやりたくても)できない、その結果としての善人というだけです。

自分がもしも、例えば、「不正を確実にもみ消すことができるほどの大きな権力を手に入れることができた場合に、たとえば、誰か憎んでいる相手に罰を与えたい、そのためには相手を罠に陥れてでも………などとは決して考えない」、例えば「巨万の富を手にすることができた場合に、それでもなお、自身の欲望を満たすために “札束で頬を張る(お金の力で他人を屈服させる)” ことは絶対にしない」という100%の自信がある人って、人類全体の何%くらいなのでしょうか?

私個人の価値観に過ぎないと言われればそれまでですが、私は、人間的成長の “カギ” となるものは、しかるべき世界観・人生観のように思います。

たとえば、「人間の本質は魂(ソール)である」「輪廻転生」「因果律(カルマの法則)」というようなことを真剣に信じている人にとっては、人生とは死んだらすべて終わりではなく、かつ、誰にも見られていなくても「お天道様は見ている(だから、人の道に反することはできない)」のです。

「今だけ・金だけ・自分だけ」の風潮の背景要因の一つなのかも

個々人の人生観、その人生観が「人間死んだら終わり、消滅して無に帰すのみ」というものである場合には、「生きている間にできるだけ沢山イイ思いをしたい。絶対にバレないのであれば何をしたって………」となってしまうおそれが相対的に高いのではないでしょうか?

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