偉い人の教えであっても鵜呑みは禁物:自分の頭で考えることの大切さ

「長所伸展」:日本を代表する経営コンサルタントのH氏(故人)の名言の一つ

「長所に見える部分を伸ばし、活かして改善を進める。そのようにして結果を出しながら、短所の改善を行う。さらに言うと、長所を徹底的に伸ばせば、短所は自ずと改善されるか、あるいは気にならなくなる。短所改善のようなことをしなくても、長所を徹底的に伸ばすことで短所は見えなくなる。」

自分の頭で考えてみると………

偉い人の名言であっても、その名言が成り立つための前提条件が実は存在していることがあるように思います。

「長所伸展」についてプロスポーツ選手を例にして説明してみます。
たとえば、二軍に在籍中のプロ野球選手(野手)が一軍のスタメンの座を獲得しようと思ったら、バッティングが一軍のスタメンとして十分通用するレベルに達していても、守備力が一軍では通用しないレベルだと、短所改善をしない限り、一軍での代打としての起用ならともかく、スタメンは到底無理でしょう。
また、守備力に問題はなく、バッティングでは速球に滅法強い選手がいたとして、でもたとえば変化球のシュートへの対応が全くダメだとしたら、短所改善をしない限り、相手チームの投手に簡単に打ち取られてしまうでしょう。

物事はケース・バイ・ケースであって、「短所改善のようなことをしなくても、長所を徹底的に伸ばすことで短所は見えなくなる」がいついかなるケースでも成り立つわけではない、ということですね。

「長所と短所」についての昭和の教育哲学者のM氏(故人)の教え

「人間の長所短所の問題について、私の考えでは、知識とか技能というような、いわば外面的な事柄については、一般的に短所を補うというよりも、むしろ長所を伸ばすほうがいい。これに反して、自分の性格という、内面的な問題になりますと、私は、長所を伸ばそうとするよりも、むしろまず欠点を矯正することから始めるのがいいと考えています。」

↑ こういう教えのほうに私は説得力を感じます。

「長所と短所は紙一重」「過ぎたるは猶及ばざるが如し」

諺には「長所と短所は紙一重」や「過ぎたるは猶及ばざるが如し」があります。

例えば、「心配性で思い切った行動がとれない」とは「冷静に判断することができる」と表裏一体ではないでしょうか。決断力があるという長所は、時として決断力が過剰になると独断専行という短所として現れてしまうものではないでしょうか。
逆に、優柔不断という短所は、慎重さという長所と紙一重ではないでしょうか?

また、本人自身は短所だと思っていることが本当に短所なのか? 実は長所だということもありえるのではないでしょうか。

さらには、以前は苦手だったものが継続して取り組んでいるうちにいつしか得意なものに変わってしまうということがあります。
例えば、昔は英語が苦手だったのに今では逆に得意に変わったという人は、世の中に大勢いらっしゃいますよね。

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