2025年7月下旬。例年にも増して厳しい暑さが続くこの夏、我が家の庭では、連日35度を超える猛暑日が当たり前のように続いています。
そんななか、ふと目に入ったのは、ひっそりと、けれども凛と咲いている一輪のガーデンシクラメンの花でした。夏の盛りにシクラメンが咲くなんて、いったいどうしたことか。まさに「狂い咲き」という言葉がぴったりの、季節外れの開花です。
シクラメンといえば、本来は秋から春にかけて咲く草花。今は夏越しのために半休眠状態に入り、葉を少し落としながら、明るい日陰で静かに過ごしている時期です。それが、なぜこの時期に――。
最初は驚きましたが、少し調べてみると、こうした狂い咲きにはいくつかの要因が考えられるようです。
一つは、気温の揺らぎ。最近、夜間に少し涼しい風が吹く日が続いたせいかもしれません。植物は、気温や日照の変化にとても敏感です。「あれ? もう秋かな?」と勘違いしてしまったのかもしれません。
また、光の加減や株の体力、環境ストレスなども要因として挙げられます。花が咲くというのは、植物にとって一種の “生存戦略”。暑さのなかでちょっとした環境の変化が起き、それに反応して眠っていた花芽が目を覚ました……と考えると、なんだか健気にも思えてきます。
それにしても、この厳しい夏の光の中で咲くガーデンシクラメンの姿には、ちょっとした感動すら覚えました。あたりは強い日差しと熱気に包まれているというのに、その一輪だけが涼やかな顔をして、まるで「忘れ物」を届けに来たかのように咲いているのです。
花の命は短いけれど、その咲き方ひとつにも、植物の “意思” のようなものを感じることがあります。
季節外れの開花は、もしかしたら地球環境の変化や異常気象の一端を映し出しているのかもしれません。でも私は、この一輪の狂い咲きを、「不自然」ではなく「自然の多様性のひとコマ」として、少しだけうれしく、そして大切に見守っていきたいと思いました。
それにしても、植物たちは本当に奥が深い。毎日の水やりのなかで、こうした小さな発見があるたびに、自然と心がほぐれていくのを感じます。