肩書きではなく、理由を問え:権威は答えを保証しない

「○○先生がこう言っている」「著名な専門家の見解だ」――こうした言葉を聞いた瞬間、私たちはつい思考を止めてしまいがちです。しかし、権威者の主張の一部だけを切り取り、そこに至る論拠や前提条件を一切示さないまま、「権威ある人の考えだから正しいに決まっている」と結論づける態度は、本来、真っ先に疑うべきものです。

専門家の意見が価値を持つのは、その肩書きゆえではなく、どんな根拠に基づき、どんな条件の下で、どこまでを語っているのかが明らかにされているからです。前後の文脈や反対論、留保条件を削ぎ落とした「切り抜き引用」は、たとえ発言者が誰であれ、思考停止を誘う装置にすぎません。

民主社会において求められるのは、「誰が言ったか」ではなく、「何が、なぜ言われているのか」を確かめる姿勢です。権威を疑うとは、専門知を軽んじることではありません。むしろ、知を本当に尊重するからこそ、私たちはその中身と論理を丁寧に問い直す必要があるのです。

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