民法、戸籍法その他の法律では「姓」ではなくて「氏」
「姓名判断」という言葉がありますし、「選択的夫婦別姓」の法制度化を求める議論がありますが、英語で言うファミリーネームのことを、民法、戸籍法その他の法律では「姓」ではなくて「氏」と表現しています。例えば、マスコミは「選択的夫婦別姓」と呼んでいますが、法務省のウェブサイトには「選択的夫婦別氏制度」と表現されています。
氏名の「氏」と姓名の「姓」には、何か違いがあるのでしょうか?
氏名「氏」と姓名の「姓」は、全く同じという理解でよいのでしょうか? それとも、実は何か少しは違いがあって、使い分けの余地があるのでしょうか?
氏名も姓名も、英語で言うとフルネームで、日常生活では同じ意味ですが、あえて理屈をこねてみると、ちょっぴり違いがありそうです。
「氏名」は、戸籍に載っている法律上の正しい名前(フルネーム)のことです。ですから、行政手続きでお役所に提出する書類には、フルネームの記載欄は「姓名」欄ではなくて「氏名」欄と記載されています。
それに対して、「姓名」は、戸籍法にとらわれることのない、フルネームの一般的な表現と言ってよいでしょう。ですから、行政手続き以外の民間の手続き上の書類では、フルネームの記載欄が「姓名」欄となっているケースがフツウに存在しています。
けれども、民間の手続きでも、例えば金融機関の口座開設のように本人確認のために身分証明書等の写しの提出が必要とされる場合には本人確認資料と同じフルネームを記載する必要があります。
それに対して、本人確認のための身分証明書等の写しの提出が不要で、しかも、フルネームを記載する欄が「姓名」欄となっているケースについては、職場で旧姓(=正しくは、婚姻前の氏(うじ))使用をしている人が旧姓を記入することは問題なし、と私は思います。
皆さんはどうお考えですか?