はじめに:次の条件に当てはまる人には参考になると思います
この記事は、園芸・家庭菜園をこれから始めてみようとお考えの人とまだ初心者段階の人が、私の場合と同じ次の条件に当てはまる場合には、私の園芸・家庭菜園の実践経験が多少なりともお役に立つように思います。
①お住まいの気候区分が、「寒地・寒冷地」、「中間地(温暖地)」、「暖地」の三区分のうちの「中間地」に当たること。
②お住まいの敷地内の “庭” は、大した広さがないこと。
③地植えできる庭、花壇はなく、鉢、プランター、ベジトラグを使うしかないこと。
④日当たりはあまりよくないこと(最も日当たりの良いエリアでも、夏場で半日程度)。
私がおすすめする前提
御自身のガーデニング・家庭菜園の環境に適した植物(種類・品種)であることが前提になりますが、
そのうえで、ガーデニング・家庭菜園に充てることができる時間的余裕と予算事情、そして植物ごとの栽培難易度を踏まえたうえで、あくまでも御自身のご判断(お好み)でお選びになることです。
初心者にとっては難易度が高目でも、大好きな植物に挑戦してみることは、ワクワクしますよね。
でも、特にこだわりがなくどの植物を選ぼうかとお悩みの場合には、
初心者のうちは、できればなるべく、ロー・メンテナンスで、かつ、ランニング・コストもロー・コストで育て(続け)ることができる植物のほうが無難だと思います。
知らないと損する「無限栽培」
「無限栽培」--私は、家庭菜園をするようになって初めてこの言葉を知りました。
毎シーズン、野菜やハーブの苗(や種子、球根)を新たに購入しなくても、育て続け、そして収穫し続けることができる、半永久的に、というようなニュアンスです。
一年草の草花と違って、野菜の場合は、家庭菜園の初心者が一から種を蒔いて育て上げることは、野菜の種類によっては決して容易ではありません。
期待できる収穫量のことを思えば、毎シーズン苗を買うコストはたかが知れているのですが、これまでと違って、世界的に肥料の価格高騰と調達の困難化が進行している現在、今後とも従来の価格で苗を確実に購入することができるのか、気がかりなところです。
その点、毎シーズン苗や種子、球根を買い直す必要がなく、かつ、発芽の確率が高いものには、お得感がありますよね。
私のおすすめ
いくつもありますが、まず初めにおすすめなのは、イチゴとニンニク、そしてスペアミントです。
イチゴとニンニク
イチゴは、ランナー(注1)を次々に伸ばして繁殖していく植物なので、このランナーから新たな苗をつくることで株を増やすことができます。あなたのお住まいの気候区分(注2)が中間地や暖地でしたら、屋外で冬越しをさせることができます。
ニンニクは、スーパーで売っている食用のものでもその鱗片を一片ずつにはがして植え付ければ、発芽して育ちます。収穫したニンニクを全部食材として使ってしまわないで、鱗片を多少残して貯蔵しておいて次のシーズンの種球として使っていけば、半永久的に栽培・収穫を続けることができます。
そして、イチゴにとってニンニクは、混植すると相性のいいコンパニオンプランツ(注3)なのです。
ニンニクの根の周りには病原菌を減らす抗生物質を出す微生物が付いているだけではなく、ニンニクの臭い成分には強い殺菌作用があるため、ニンニクをイチゴと混植することで、イチゴが病気にかかりにくくなると同時にアブラムシなどの害虫も寄りにくくなるのです。
更に、ニンニクは土の中の根圏(注4)を豊かにする作用があるので、イチゴの根が丈夫に育ち、水分をよく吸い上げ、その結果、イチゴの実の付きがよくなり収穫量がアップする、と言われています。
(注1)茎をつるのように伸ばして先端から根が発根し、新たに株を作る匍匐茎のこと。
(注2)気候区分の定義
寒地(寒冷地)=年間平均気温9~12℃
中間地(温暖地)=年間平均気温12~15℃
暖地=年間平均気温15~18℃
同じ府県内でも、標高の違い、風の強弱等の違いによって年間平均気温は異なります。
(注3)育てたい野菜や花のそばに植えることでよい影響をもたらす植物のこと。共生植物。コンパニオンプランツを植えることで、①病気や害虫の被害にあいにくくなって、生育がよくなる、②風味や味がよくなる、③野菜の場合は、農薬や化学肥料の使用量を減らすことができる、というメリットが指摘されています。
(注4)植物の根の近傍の土壌領域。植物の根の分泌物と土壌微生物とによって影響を受けます。
スペアミント
耐暑性も耐寒性も強い多年草です。多年草といっても、元の株はいつかは古くなって枯れてしまいますが、地下茎とランナーで繁殖していく(注5)大変繁殖力の強い(注6)ハーブです。
ミント特有の鼻に抜ける清涼感は控えめで、ほのかな甘みや苦みがあるのが特徴ですので、ハーブティー(注7)だけでなく料理にも使いやすいです。
収穫期は、株が旺盛な成長をみせる晩春から初秋が適期ですが、ほぼ通年収穫を行うことができます。葉をたくさん収穫したいのなら、花(開花期は夏)を咲かせないよう花穂をつける前に摘芯(注8)や切り戻し(注9)をしておくことがポイントです。
梅雨の時期は株が蒸れやすいので、また、すっきりと風通しのよい株姿で真夏を過ごせるよう、梅雨入り直前に切り戻しをしておくことがすすめられています。
比較的暖かい地域では冬でも地上部分は枯れずに冬越しをします。地表部分に出ている部分が枯れてしまっても、地下の茎が生きているため、春になると新芽が芽吹きます。
(注5)親株が小株をつくるために地表に伸ばすつるのこと。つるの先から発根して根付いて新しい株(小株)が成長していきます。
(注6)地植えではなく鉢植えをおすすめします。
(注7)スペアミントのハーブティーには、鎮静作用によるリラックス効果・リフレッシュ効果、胃腸の消化促進作用による便秘や下痢の改善、殺菌作用による口臭予防と風邪の予防(ハーブティーでうがいをする)などがあると言われています。
(注8)脇芽の成長を促す目的で、草花や野菜の若い苗に見られる茎の一番先端の部分をカットすること。成長点をカットすることで、上に伸びようとするエネルギーが脇芽などを伸ばそうとするエネルギーに転嫁されます。
(注9)株元に葉がなくなったり、ひょろひょろと伸びてしまったりと、植物が生長したことによって姿が乱れたときに、株を再生させるために(新芽が出てくるよう)、伸びた茎や枝を途中まで切り落とすこと。