日本は移民国家?これさえ押さえれば完璧 その10「移民政策における永住許可制度のあるべき姿とは?」

永住許可に関するガイドライン(令和元年5月31日改定)(出入国在留管理庁ホームページより)

1 法律上の要件
(1)素行が善良であること
法律を遵守し日常生活においても住民として社会的に非難されることのない生活を営んでいること。
(2)独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
日常生活において公共の負担にならず、その有する資産又は技能等から見て将来において安定した生活が見込まれること。
(3)その者の永住が日本国の利益に合すると認められること
 原則として引き続き10年以上本邦に在留していること。ただし、この期間のうち、就労資格(在留資格「技能 実習」及び「特定技能1号」を除く。)又は居住資格をもって引き続き5年以上在留していることを要する。
 罰金刑や懲役刑などを受けていないこと。公的義務(納税、公的年金及び公的医療保険の保険料の納付並びに出入国管理及び難民認定法に定める届出等の義務)を適正に履行していること。
 現に有している在留資格について、出入国管理及び難民認定法施行規則別表第2に規定されている最長の在留期間をもって在留していること。
 公衆衛生上の観点から有害となるおそれがないこと。
ただし、日本人、永住者又は特別永住者の配偶者又は子である場合には、(1)及び(2)に適合することを要しない。また、難民の認定を受けている者の場合には、(2)に適合することを要しない。

2 原則10年在留に関する特例
(1)日本人、永住者及び特別永住者の配偶者の場合、実体を伴った婚姻生活が3年以上継続し、かつ、引き続き1年以上本邦に在留していること。その実子等の場合は1年以上本邦に継続して在留していること
(2)「定住者」の在留資格で5年以上継続して本邦に在留していること
(3)難民の認定を受けた者の場合、認定後5年以上継続して本邦に在留していること
(4)外交、社会、経済、文化等の分野において我が国への貢献(※)があると認められる者で、5年以上本邦に在留していること
(5)地域再生法(平成17年法律第24号)第5条第16項に基づき認定された地域再生計画において明示された同計画の区域内に所在する公私の機関において、出入国管理及び難民認定法第7条第1項第2号の規定に基づき同法別表第1の5の表の下欄に掲げる活動を定める件(平成2年法務省告示第131号)第36号又は第37号のいずれかに該当する活動を行い、当該活動によって我が国への貢献があると認められる者の場合、3年以上継続して本邦に在留していること
(6)出入国管理及び難民認定法別表第1の2の表の高度専門職の項の下欄の基準を定める省令(以下「高度専門職省令」という。)に規定するポイント計算を行った場合に70点以上を有している者であって、次のいずれかに該当するもの
「高度人材外国人」として3年以上継続して本邦に在留していること。
3年以上継続して本邦に在留している者で、永住許可申請日から3年前の時点を基準として高度専門職省令に規定するポイント計算を行った場合に70点以上の点数を有していたことが認められること。
(7)高度専門職省令に規定するポイント計算を行った場合に80点以上を有している者であって、次のいずれかに該当するもの
「高度人材外国人」として1年以上継続して本邦に在留していること。
1年以上継続して本邦に在留している者で、永住許可申請日から1年前の時点を基準として高度専門職省令に規定するポイント計算を行った場合に80点以上の点数を有していたことが認められること。

(注1)本ガイドラインについては、当面、在留期間「3年」を有する場合は、前記1(3)ウの「最長の在留期間をもって在留している」ものとして取り扱うこととする。
(注2)前記2(6)アの「高度人材外国人」とは、ポイント計算の結果70点以上の点数を有すると認められて在留している者が該当し、前記2(7)アの「高度人材外国人」とは、ポイント計算の結果80点以上の点数を有すると認められて在留している者が該当する。

『「我が国への貢献」に関するガイドライン』が出入国在留管理庁によって策定され、同庁のホームページで公表されている。

『外国人との共生社会の実現に向けたロードマップ』(令和4年6月14日外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議決定)の中の注目すべき記述

『外国人との共生社会の実現に向けたロードマップ』の「4 共生社会の基盤整備に向けた取組(重点事項4)」の「(1)現状及び課題」の「カ 共生社会の基盤としての在留管理体制の構築」において、
「許可後に公的義務を履行しなくなるなど、永住者としての要件を満たさなくなったと思われる事案について、永住許可の取消しを含めて対処できる仕組みを構築する。」
と定められています。

これは、逆に言えば、現状は、永住許可を受けた後に、公的義務を履行しなくなるなど、永住許可時に必要な要件を満たさなくなったということをもって、永住許可の取消しを含めて対処できる仕組みにはなっていない、ということです。

日本人と外国人が安全に安心して暮らせる共生社会を真に実現するためには

日本では、政府は、平成18 年に取りまとめた「『生活者としての外国人』に関する総合的対応策」に基づいて、在留外国人が暮らしやすい地域社会づくり等に努めています。

そして、平成30年12月には、政府は、外国人材の受入れ・共生のための取組を、政府一丸となって、より強力に、かつ、包括的に推進していく観点から、そして、共生社会の実現を図ることにより、日本人と外国人が安心して安全に暮らせる社会の実現に寄与するという目的を達成するための目指すべき方向性を示すものとして、「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策」を取りまとめました。

それ以降政府は、現在進行形で、定期的に総合的対応策のフォローアップを行い、政府全体で共生社会の実現を目指しています。

日本人と外国人が安全に安心して暮らせる共生社会の実現が名ばかりのものにならないよう、政府が今後、永住許可要件を更に緩和していく方針であればなおのこと、
永住許可後に公的義務を履行しなくなるなど、永住者としての要件を満たさなくなったと思われる事案について、永住許可の取消しを含めて対処できる仕組み
一日も早く構築することが必要かつ重要である
と私は考えています。

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