年齢層別投票率から考える、来る2月8日衆院選の見え方

来る2月8日の衆議院解散総選挙を前に、「どの世代の投票行動が結果に影響を与えるのか」という点について、さまざまな議論がなされています。
本稿では、特定の政党や候補を支持・批判する立場ではなく、人口構成と投票率という構造から、冷静に整理してみたいと思います。

第一に:50歳以上の投票率は、すでに高水準にあります

過去の国政選挙を振り返ると、50歳以上の年齢層は、もともと投票率が高い水準で安定しています。
このため、仮に今後さらに投票率が上昇するとしても、その上げ幅には構造的な限界があります。
もちろん、投票率が1%でも上がること自体に意味がないわけではありません。
ただし、すでに高水準にある層が、短期間で劇的に投票行動を変える可能性は高くない、というのが現実的な見方でしょう。

第二に:20代の投票率向上だけでは、影響は限定的です

若年層、とりわけ20代(厳密には18歳・19歳を併せた合計。以下同じ)の投票率の低さは、しばしば問題点として指摘されます。
この層の投票率向上は、民主主義の観点から見ても重要な課題です。
ただし、人口全体に占める20代の割合を踏まえると、20代の投票率が単独で大きく上昇したとしても、即座に(来る2月8日の衆院選の結果に)大きな変化をもたらす決定打にはなりにくい、という側面もあります。
これは20代の行動を軽視するものではなく、短期的な選挙結果と長期的な政治参加を分けて考える必要があるという指摘に近いものです。

第三に:鍵となるのは「50歳未満」全体の投票率です

以上を踏まえると、今回の衆院選でより注目すべきなのは、
18歳・19歳・20代・30代・40代を含む「50歳未満の有権者層」全体の投票率が、どの程度上昇するかという点だと考えられます。
これらの世代は、人口規模として一定の厚みがあり、かつ投票率にもまだ上昇余地があります。
この層全体で数%規模の変化が起きた場合、その影響は無視できないものになります。
重要なのは、特定の世代を英雄視したり、逆に責めたりすることではありません。
どの世代が「多く」、どの世代が「動きやすい」のかという構造を理解することが、冷静な議論の出発点になるはずです。

おわりに:これは一つの見方に過ぎませんが

本稿は、厳密な選挙予測を行うものではありません。
人口構成と過去の投票率から見えてくる傾向を、整理したに過ぎないものです。
ただ、感情論や期待論だけではなく、こうした構造的な視点を持つことで、
選挙や政治をめぐる議論が、少しでも落ち着いたものになるのではないでしょうか。

【補足資料】年齢層別人口と投票率の整理(概数)

以下は、総務省が公表している人口統計および国政選挙における年齢層別投票率をもとに、議論の前提となる数字を整理したものです。
厳密な予測を目的とするものではなく、構造を理解するための補助資料として示します。

① 日本の年齢層別人口規模(概数)
 20代:人口の約9%
  → 人口の1%は 約12万人
 30代:人口の約11%
  → 人口の1%は 約14万人
 40代:人口の約13%
  → 人口の1%は 約16万人
 50代:人口の約14%
  → 人口の1%は 約17万人
 60代:人口の約15%
  → 人口の1%は 約18万人
 70歳以上:人口の約20%
  → 人口の1%は 約24万人
 ※数値はいずれもおおよその目安です。

② 国政選挙における年齢層別投票率(近年の傾向)
直近の国政選挙(衆議院・参議院)における投票率は、概ね次のような傾向があります。
 20代:30%台前半
 30代:40%前後
 40代:50%前後
 50代:60%前後
 60代:70%前後
 70歳以上:60〜70%台
高年齢層ほど投票率が高く、若年層ほど低いという構図は、過去10年程度を通じて一貫しています。

③ 「人口 × 投票率」から見える構造的な特徴
これらを掛け合わせて考えると、次の点が読み取れます。
ア)50歳以上の層は、人口規模も大きく、すでに投票率が高い
イ)20代は、投票率が上昇しても、人口規模の制約により短期的影響は限定的
ウ)一方で、20代・30代・40代を含む「50歳未満層」全体が数%単位で動いた場合、実際に投票所へ足を運ぶ人数の増加は無視できない規模になる

④ 本稿でこの整理を示した理由
本稿で述べたのは、
「どの世代が正しいか」「誰が悪いか」という話ではありません。
人口構成と投票行動の組み合わせとして、どこに“動きしろ”があるのか
その構造を共有することが、冷静な議論の前提になると考え、この補足資料を付しました。

\ 最新情報をチェック /

PAGE TOP
タイトルとURLをコピーしました