「入口」で終わる制度ではない
前回(第6部)では、
政府が説明している
「日本には、外国人が入国時に永住資格を取得できる制度はない」
という説明は、制度との整合性があることを確認しました。
しかし、それだけでは制度全体は説明できません。
なぜなら、日本の外国人受入れ制度は、「入口」だけで完結する制度ではないからです。
制度を理解するためには、「外国人が入国した後」を見る必要があります。
外国人の日本での滞在は、時間とともに変化していく
外国人が日本に来た当初の滞在目的や生活は、その後の経過によって変わることがあります。
例えば、次のような経過をたどる人もいます。
・留学生として来日する
・卒業後、日本で就職し、就労資格へ変更する
・在留期間を更新しながら就労(日本滞在)を続ける
・独身者がやがて婚姻し、日本での生活(日本滞在)を続ける
・既婚者が本国から家族を呼び寄せ、日本での生活(日本滞在)を続ける
・日本での生活(日本滞在)が長期化する
・一定の要件を満たせば、永住許可を受けることができる
・さらに希望すれば帰化を申請することもできる
このように、一人の外国人でも、時間の経過とともに法的地位が変わっていくことがあります。
つまり、日本の制度は「入口」ではなく、「時間の流れ」の中で理解する必要がある制度なのです。
政府が説明しているのは「入口」の制度
ここで改めて政府答弁を思い出してください。
政府が説明しているのは、
「入国時には永住資格(在留期間が無期限の在留資格)を与える制度ではない」
という点でした。
これは、外国人が日本へ入る時点の制度について説明しています。
しかし、その後、
どのような在留資格へ変更できるのか、
どのくらい日本に滞在できるのか、
永住許可を受けられるのか、
帰化することができるのか、
という制度については、この説明だけでは触れられていません。
つまり、政府答弁は「入口」の制度を説明しているのであって、その後の制度全体まで説明しているわけではないのです。
「入口」と「出口」の間に制度がある
外国人受入れ政策を考える際、
「入口」と「出口」だけを見ていては十分ではありません。
その間には、
在留資格制度を中心として、
在留期間更新許可、
在留資格変更許可、
家族の在留資格、
永住許可制度、
帰化許可制度
など、さまざまな制度があります。
そして、それらは互いにつながっています。
だからこそ、
外国人受入れ政策を評価するためには、
「入口の制度」だけでも、
「永住許可制度」だけでもなく、
制度全体を一つの流れとして見ることが必要なのです。
次回予告
ここまで見てきたように、
日本の制度は、「入口だけを見れば移民制度ではない」と説明することもできます。
一方で、
制度全体を見れば、外国人が長期滞在し、永住許可や帰化へ至る道も制度として存在しています。
では、このような制度全体を踏まえたとき、
日本は本当に「移民政策」をとっていないと言い切れるのでしょうか。
次回は、「制度」と「政策」は何が違うのかという視点から、この問題を考えていきます。
