なぜ今、あらためて日本の外国人受入れ政策を論じるのか【第0部】「賛成か反対か」ではなく、「制度設計」を考えるために

私は2023年1月にこの個人ブログ『風の時代・日日是好日』を開設して以降、「移民」「外国人受入れ政策」「社会統合政策」などをテーマに、多くの記事を書いてきました。
その間、日本社会を取り巻く状況も大きく変化しました。
外国人受入れ政策は、一部の専門家だけが議論するテーマではなく、多くの国民が関心を寄せる政治課題の一つとなりつつあります。
一方で、その議論は、今なお「外国人受入れに賛成か反対か」という二項対立に陥りがちです。
しかし、本当に考えるべきことは、そこなのでしょうか。

私が一貫して問題意識としてきたこと

この連載を始める前に、一つだけお伝えしておきたいことがあります。
私自身の問題意識は、2023年当時から変わっていません。
それは、
「日本の外国人受入れ政策は、日本社会の将来を左右する重要な公共政策であるにもかかわらず、これまで国全体で議論が盛り上がった時期はあったものの、主要な政治課題の一つとして国民的な議論が継続的に行われ、有権者が政策の違いを比較しながら選択できる状況には、必ずしもなってこなかった。」
ということです。
私は、定年退職前の現役時代、法務省職員として、出入国・在留管理行政(関連分野への出向を含みます。)に長年携わってきました。
だからこそ、この問題はイデオロギーではなく、制度として議論されるべきだと考え続けてきました。

発信の仕方を変えてきた理由

ただし、発信の仕方は変わりました。
2023年当時、日本では「移民政策」という言葉そのものが十分に議論されていませんでした。
そのため私は、まず議論の土台となる具体的な政策案として、故・坂中英徳氏が提唱された『日本型移民政策』を数多く紹介しました。
これは、その政策をそのまま支持するためではありません。
また、全面的に否定するためでもありません。
まずは具体的な政策案を知り、その長所も課題も含めて議論できる環境を作りたいと考えたからです。

社会状況は変わった

その後、日本社会は大きく変わりました。
外国人受入れ政策は、以前とは比較にならないほど国民の関心を集めるテーマとなりました。
さまざまな政党がそれぞれの政策を掲げ、国民もまた、それらを比較しながら考える時代に入りつつあります。
私は、この変化を歓迎しています。
なぜなら、一つの政策案だけを前提に議論する段階から、複数の選択肢を比較しながら議論できる段階へ進んだからです。

この連載で考えたいこと

したがって、この連載では、
「どの政策が正しいか」
を最初から決めて議論することはしません。
私が考えたいのは、
「日本という国にとって、どのような制度設計が望ましいのか」
ということです。

外国人受入れ政策とは、
・外国人を何人受け入れるかだけの問題ではありません。
・どのような人を受け入れるのか。
・どの分野で受け入れるのか。
・どの程度の速度で受け入れるのか。
・社会統合政策をどこまで整備できるのか。
・制度を変更する場合、どのような経過措置を設けるのか。
・そして、その制度を誰が、どのような手続で見直していくのか。
こうした制度全体の設計こそが、本来の論点だと考えています。

この連載の進め方

この連載では、
・日本政府がこれまで採ってきた外国人受入れ政策
・私自身が過去に紹介してきた政策案
・国内外のさまざまな考え方
なども必要に応じて紹介しながら、それぞれの利点と課題をできるだけ公平に検討していきます。
結論を急ぐことはしません。
読者の皆様と一緒に、一つ一つ積み重ねながら考えていきたいと思います。

おわりに

外国人受入れ政策は、日本社会の将来に関わる重要なテーマです。
だからこそ、感情やイデオロギーだけで語るのではなく、制度として考えなければなりません。
「賛成か反対か」。
その前に、
「どのような制度なら、日本社会は持続可能になるのか。」
本連載では、その問いを出発点として、日本の外国人受入れ政策を一緒に考えていきたいと思います。

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