- はじめに――「政策がない」のではなく、「全体像が見えない」
- まず、現在の「重点政策」を見る
- しかし、現在の重点政策だけでは見えない部分がある
- 国会活動を見ると、さらに多くの政策論点が見えてくる
- 「永住」――入国できることと、永住できることは別
- 在留資格「経営・管理」――在留資格制度の悪用を防ぐ
- 在留資格「特定技能2号」――家族帯同と定着をどう考えるか
- 「健康保険・年金」――権利だけでなく負担も問う
- 「生活保護」――公的扶助の在り方を問う
- 「外国人の運転免許」――制度を利用する以上、ルールを守る
- 「不法滞在者の医療費」――在留資格と行政サービス
- 「留学生」と「安全保障」――外国人政策は移民政策だけではない
- ここまでを整理すると、日本保守党は何を問題視しているのか
- ここまでを見ると、日本保守党の外国人政策には共通する考え方がある
- では、現在の政策体系には何が足りないのか
- 「入口」の問題は、受入れの可否ではなく、受入れをどう設計するかである
- 受け入れた後も、国籍にかかわらず同じルールを適用する
- もう一つ足りないのが、「検証」です
- これは、日本保守党への批判ではない
- 有権者に必要なのは、「個別政策」だけではなく「全体像」
- 日本保守党の外国人政策を「一本の線」にすると
- しかし、最後のピースがまだ足りない
- おわりに――「外国人政策がない」のではない。「政策体系」が見えないのだ
はじめに――「政策がない」のではなく、「全体像が見えない」
日本保守党の外国人政策について、SNSなどでは、「日本保守党には移民政策しかなく、外国人政策の全体像が見えない」といった指摘を見かけることがあります。
確かに、現在の日本保守党公式ホームページに掲載されている「重点政策項目」の6番目を見ると、外国人政策として明記されているのは、次の4項目です。
6.移民政策の是正―国益を念頭に置いた政策へ
・移民のコストを算出し、総数・相手国を規制する。
・経営・管理ビザの相手国制限
・特定技能2号の家族帯同を大幅に制限
・健康保険法・年金法改正(外国人の健康保険・年金を別立てに)
これは2026年8月6日に改訂された、現在の日本保守党「重点政策項目」に実際に記載されている内容です。
これだけを見ると、「日本保守党の外国人政策は、この4項目だけなのだろうか」と思うのも無理はありません。
しかし、少し調べてみると、事情は違います。
日本保守党は、結党宣言の中で「野放図な移民政策」を問題視し、日本の文化や国柄、ナショナル・アイデンティティとの関係から移民問題を論じています。
また、2025年から2026年にかけて、所属国会議員は、永住、健康保険、年金、生活保護、経営・管理ビザ、外国人の運転免許、留学生、不法滞在者の医療費など、外国人政策に関係するさまざまな問題について質問主意書を提出しています。
つまり、
「日本保守党には外国人政策がない」
というのは、正確ではありません。
むしろ問題は、
「個々の政策や問題意識はかなり存在するのに、それらが一つの政策体系として国民に提示されていない」
ことではないでしょうか。
私は、これは日本保守党を批判するための問題提起ではなく、むしろ有権者が政策を判断するための情報を、もっと分かりやすくしてほしいという提案として考えるべきだと思います。
そこで今回は、日本保守党がこれまで公表してきた外国人政策に関する文書や国会活動をできるだけ拾い上げ、
①日本保守党は、何を問題視しているのか
②それに対して、何を変えようとしているのか
③そこから、どのような基本原則が読み取れるのか
④そして、現在の政策体系に何が足りないのか
を整理してみたいと思います。
まず、現在の「重点政策」を見る
現在の「重点政策項目」は、日本保守党の政策を知るうえで当然ながら最も重要な文書です。
外国人政策については、
「移民政策の是正 ― 国益を念頭に置いた政策へ」
という見出しが付けられています。
その具体策は、
・移民のコストを算出し、総数・相手国を規制する
・経営・管理ビザの相手国制限
・特定技能2号の家族帯同を大幅に制限
・外国人の健康保険・年金を別立てにする
という4項目です。
ここから読み取れるのは、少なくとも日本保守党が、
「外国人を受け入れるかどうか」だけではなく、「受け入れる外国人の総数、相手国、在留資格、家族帯同、社会保障制度まで国家として管理すべきだ」
と考えていることです。
特に「移民のコストを算出し、総数・相手国を規制する」という最初の項目は重要です。
単に「移民推進」に反対するのではなく、
受入れによって日本社会にどのようなコストが発生するのかを把握した上で、受入れ規模を決める
という政策思想を示しているからです。
しかし、現在の重点政策だけでは見えない部分がある
実は、日本保守党の外国人政策には、現在の4項目だけでは収まりきらない問題意識があります。
その一つが、結党宣言です。
日本保守党は2023年の結党宣言で、
「野放図な移民政策」
を問題視し、それが日本の文化や国柄、ナショナル・アイデンティティを内側から壊しかねないとの認識を示しています。
また、2026年1月1日の新春メッセージでは、百田代表が、
「日本社会を変容させかねない移民問題」
と表現しています。
さらに2025年10月24日の高市総理の所信表明に対する所感では、
「日本文化と国民生活に深刻な影響を与えかねない外国人問題」
として、「激増する帰化および永住外国人」を挙げ、総量規制を含む抜本的な見直しを求めています。
ここまで読むと、日本保守党が問題にしているのは、単なる「外国人労働者の人数」だけではないことが分かります。
そこには、
・日本社会への影響
・日本文化・国柄への影響
・永住・帰化による長期的な定着
・社会保障への影響
・国益
・安全保障
といった、より広い問題意識があります。
国会活動を見ると、さらに多くの政策論点が見えてくる
ここで注意しておきたいことがあります。
日本保守党の「重点政策」と、所属議員が国会に提出した「質問主意書」は、同じものではありません。
質問主意書は、党の正式決定政策そのものとは限りません。
しかし、所属議員が国会で何を問題として取り上げ、政府に何を問いただしているのかを知るうえでは、非常に重要な資料です。
日本保守党公式サイトの「国会活動」には、2025年を中心として、外国人政策に直接関係する質問主意書が複数掲載されています。
それを分野別に整理してみましょう。
「永住」――入国できることと、永住できることは別
2025年1月27日、島田洋一衆議院議員は、
「永住許可要件の大幅緩和に関する質問主意書」
を提出しています。
つまり、日本保守党所属議員は、外国人が日本に入国・在留できることだけでなく、その先にある「永住」をどのような条件で認めるのかという問題を取り上げています。
これは非常に重要な論点です。
外国人政策では、
入 国
↓
在 留
↓
長期在留
↓
永 住
↓
帰 化
という段階があります。
ところが、一般の政策議論では、これらが一括して「移民問題」と呼ばれてしまうことがあります。
日本保守党の国会活動を見ると、少なくとも「永住」という長期定着の段階について、別途問題意識を持っていることが分かります。
在留資格「経営・管理」――在留資格制度の悪用を防ぐ
2025年6月17日には、竹上ゆうこ衆議院議員が、
「在留資格『経営・管理』の悪用防止に関する質問主意書」
を提出しています。
ここで重要なのは、外国人を受け入れる制度そのものを否定するのではなく、
本来の制度目的とは異なる使われ方をしていないか
という観点から制度をチェックしていることです。
現在の重点政策にも「経営・管理ビザの相手国制限」が明記されています。
つまり、
「外国人を受け入れる制度は、制度本来の目的に沿って適正に利用されなければならない」
という考え方が見えてきます。
在留資格「特定技能2号」――家族帯同と定着をどう考えるか
現在の重点政策では、
「特定技能2号の家族帯同を大幅に制限」
としています。
これは、単純に労働者本人を受け入れるかどうかだけではありません。
家族帯同を認めれば、
・子どもの教育
・医療
・住宅
・社会保障
・地域社会
・日本語教育
など、さまざまな問題が生じます。
したがって、ここには、
「外国人労働者の受入れ」と「日本社会への長期的な定着」は同じ問題ではない
という認識があると考えられます。
「健康保険・年金」――権利だけでなく負担も問う
外国人の社会保障についても、竹上ゆうこ衆議院議員は複数の質問主意書を提出しています。
2024年12月13日には、
「外国人の国民健康保険料等の支払状況の実態調査及び外国人の医療保険制度を別立てにすることに関する質問主意書」
が提出されています。
そして2025年4月3日には、
「在留外国人の国民年金保険料の納付率がわずか四十三・四%であることに関する質問主意書」
が提出されています。
さらに2025年5月9日には、
「外国人による国民健康保険料等の未納・滞納や医療サービス濫用への対策の必要性に関する質問主意書」
も提出されています。
現在の重点政策で、
「健康保険法・年金法改正(外国人の健康保険・年金を別立てに)」
としているのは、こうした問題意識の延長線上にあると見ることができます。
ここから見えてくるのは、
「外国人にも権利を認めるのか」だけではなく、「その権利に対応する負担をどう求めるのか」
という問題意識です。
これは外国人政策を考える上で、非常に重要な論点です。
「生活保護」――公的扶助の在り方を問う
2025年6月3日には、
「外国人に対する生活保護廃止に関する質問主意書」
が提出されています。
タイトルだけを見ると非常に強い主張に見えます。
しかし、政策として考える場合には、
・外国人に対する公的扶助をどのように位置付けるのか
・その法的根拠は何か
・どのような在留資格の人を対象とするのか
・日本社会がどこまで負担するのか
・一時的な困窮への対応と長期的な定着をどう区別するのか
といった制度設計の問題として考える必要があります。
ここでも、日本保守党の問題提起は、外国人政策と社会保障政策の接点に及んでいます。
「外国人の運転免許」――制度を利用する以上、ルールを守る
2025年2月13日には、
「外国人による運転免許証の切替制度の悪用防止に関する質問主意書」
が提出され、6月12日には
「外国人による運転免許証の切替制度の悪用防止に関する再質問主意書」
も提出されています。
これは移民政策というより、行政制度の適正利用の問題に見えるかもしれません。
しかし、外国人政策という大きな枠組みで見ると、
外国人であっても、日本の制度を利用する以上、その制度のルールを守ることを求める
という考え方につながります。
この点は、外国人政策を「入国を許可するかどうか」だけでなく、在留中の制度利用をどう管理するかという問題へ広げるうえで重要です。
「不法滞在者の医療費」――在留資格と行政サービス
2025年10月21日には、百田尚樹参議院議員が、
「医師の応招義務及び不法滞在の外国人の医療費支払等に関する質問主意書」
を提出しています。
ここでは、医療機関が患者を診療するという問題と、不法滞在者の医療費を誰が負担するのかという問題が交差します。
これも、
在留資格、行政サービス、費用負担をどのように整合させるのか
という外国人政策上の論点です。
「留学生」と「安全保障」――外国人政策は移民政策だけではない
現在の重点政策では、「教育と福祉」の中に、
「留学生制度の見直し(安全保障の観点から出身国を厳選する)」
が明記されています。
さらに国会では、
・中国の国防七校と日本の大学との提携
・中国の半導体研究機関と日本の研究機関との提携
・ハーバード大学の外国人留学生を日本の大学等へ受け入れる問題
についても質問主意書が提出されています。
つまり、日本保守党の外国人政策は、
労働力政策+社会保障政策
だけではありません。
そこには、
教育政策+経済安全保障+国家安全保障
という軸も存在しています。
ここまでを整理すると、日本保守党は何を問題視しているのか
ここまでの公式政策、結党宣言、代表談話、所属議員の国会活動を整理すると、日本保守党が問題視しているものは、おおむね次のように分類できます。
分野 見えてくる問題意識
移民全体 「野放図な移民政策」への懸念
総数 日本社会への影響を踏まえた総量規制
国籍・相手国 相手国ごとのリスクを踏まえた管理
経営・管理 在留資格の悪用防止
特定技能 家族帯同・長期定着への懸念
永住 永住許可要件の在り方
帰化 帰化者増加による社会への影響
健康保険 保険料未納・医療費・制度の適正利用
年金 保険料納付と制度負担
生活保護 外国人への公的扶助の在り方
運転免許 制度の悪用防止
医療 不法滞在者の医療費負担
留学生 安全保障上のリスク
文化・国柄 日本文化・国柄・ナショナル・アイデンティティへの影響
この表を見れば分かるように、決して「4項目しかない」わけではありません。
むしろ、かなり広い範囲にわたっています。
ここまでを見ると、日本保守党の外国人政策には共通する考え方がある
ここまで、日本保守党の重点政策、結党宣言、代表談話、そして所属議員の国会活動を見てきました。
個々の政策だけを取り上げると、それぞれ別々の問題を扱っているようにも見えます。
しかし、これらを横に並べてみると、そこにはいくつかの共通する考え方が浮かび上がってきます。
第一は、外国人の受入れを、日本の国益や日本社会への影響という観点から考えるということです。
現在の重点政策にも、
「移民政策の是正―国益を念頭に置いた政策へ」
と明記されています。
また、「移民のコストを算出し、総数・相手国を規制する」としていることからも、外国人の受入れ規模や対象について、国家として一定の管理を行うべきだという考え方が読み取れます。
第二は、在留資格や行政制度が、本来の目的に沿って適正に利用されることを重視するということです。
経営・管理ビザの問題や、外国人による運転免許制度の利用についての問題提起などは、その具体例でしょう。
第三は、外国人の受入れと社会保障制度との関係を重視するということです。
健康保険、年金、生活保護などについて、外国人の負担と給付、制度の持続可能性、制度利用の適正さなどを問題にしています。
第四は、短期的な滞在と長期的な定着を区別して考えるということです。
特定技能2号の家族帯同、永住、帰化などについて問題提起していることからも、単に「外国人労働者を受け入れる」という入口だけではなく、その後の長期的な定着が日本社会に及ぼす影響を意識していることが分かります。
第五は、安全保障を外国人政策の判断要素の一つとしていることです。
留学生制度について「安全保障の観点から出身国を厳選する」としていることは、その典型です。
こうして整理すると、日本保守党の外国人政策には、
外国人の受入れについて、日本の国益、日本社会への影響、制度の適正利用、社会保障の持続可能性、長期的な定着、安全保障などを総合的に考慮し、国家として適切に管理する。
という基本的な方向性を読み取ることができます。
そして、この方向性そのものは、現在の重点政策に掲げられている「国益を念頭に置いた政策」という考え方とも整合しています。
では、現在の政策体系には何が足りないのか
ここまで整理すると、私は一つの疑問に行き着きます。
それは、
「個々の政策はかなり具体的なのに、それらを一つにつなぐ政策体系が、なぜ見えてこないのだろうか」
ということです。
例えば、現在の重点政策には、
「移民のコストを算出し、総数・相手国を規制する」
とあります。
これは重要な政策方針です。
しかし、有権者の立場からすれば、次の疑問が生じます。
では、どのような基準によって受入れ総数を決めるのでしょうか。
また、
「経営・管理ビザの相手国制限」
とあります。
では、
どのようなリスク評価に基づいて、どの国を対象とするのでしょうか。
さらに、
「特定技能2号の家族帯同を大幅に制限する」
のであれば、
受け入れた外国人本人について、日本社会でどのようなルールを適用し、どのような生活基盤を求めるのでしょうか。
健康保険・年金についても、
外国人を対象とする制度をどのように設計し、負担と給付の関係をどうするのでしょうか。
このように見ていくと、現在の政策には、
「何を問題と考えているのか」
についてはかなり明確な部分があります。
一方で、
「その問題を踏まえて、外国人政策全体をどのような仕組みとして設計するのか」
という部分については、まだ有権者から見て分かりにくいのです。
もちろん、これは日本保守党だけの問題ではありません。
外国人政策は、入管、労働、社会保障、教育、地方自治、治安、安全保障など、複数の行政分野にまたがるため、一つの政策文書だけですべてを説明することは容易ではありません。
だからこそ、重要なのは、個々の政策を並べるだけではなく、
それらを貫く基本原則と政策の全体像を示すこと
ではないでしょうか。
「入口」の問題は、受入れの可否ではなく、受入れをどう設計するかである
ここで、外国人政策についてもう一つ整理しておきたいことがあります。
外国人政策の「入口」の議論を、
「外国人を受け入れるのか、受け入れないのか」
という単純な二者択一として捉えるのは、現在の日本の政策論争を正確に表しているとは言えません。
日本ではすでに、在留資格ごとに一定の要件を設けた上で外国人を受け入れる制度が存在しています。
そして、現在の国政における主な政策論争も、「外国人を一人も入れない」ということではなく、
・どのような条件で入国・在留を認めるのか。
・どの分野で受け入れるのか。
・どの国・地域から受け入れるのか。
・どの程度の人数を受け入れるのか。
・受入れ人数に上限を設けるのか。
・どの程度のペースで受け入れるのか。
・家族帯同をどこまで認めるのか。
といった、受入れの条件と規模をどう設計するかという問題にあります。
つまり、外国人政策における「入口」とは、
「受け入れるか、受け入れないか」
だけではありません。
むしろ、
「誰を、なぜ、どの程度、どのような条件で受け入れるのか」
という制度設計そのものが「入口」の議論なのです。
そして、これは日本保守党が現在掲げている、
「移民のコストを算出し、総数・相手国を規制する」
という政策とも直接つながります。
・総数をどうするのか。
・相手国をどう考えるのか。
・どの在留資格をどう設計するのか。
・家族帯同をどこまで認めるのか。
こうした問題を一つの体系として整理することによって、初めて「国益を念頭に置いた政策」が具体的な制度設計として見えてくるのではないでしょうか。
受け入れた後も、国籍にかかわらず同じルールを適用する
では、入口で適切な条件を設定して外国人の入国・在留を認めた後は、それで外国人政策は終わるのでしょうか。
もちろん、そうではありません。
日本で生活する外国人については、その後、
・日本語による意思疎通
・税や社会保険制度
・医療制度
・子どもの教育
・雇用関係
・住宅
・地域社会での生活
・ごみ出しなどの日常生活上のルール
など、さまざまな問題が生じます。
ただし、ここで重要なのは、法令や社会のルールを守ることを外国人にだけ特別に求めるような考え方をしてはいけないということです。
日本人であれ在留外国人であれ、日本社会で生活する以上、法律をはじめとする社会のルールを守るのは当然です。
したがって、外国人政策において必要なのは、
「外国人にルールを守ってもらう」ための特別な仕組み
というより、
「国籍にかかわらず、日本社会で生活するすべての人に共通するルールを明確にし、それを適正に適用・執行する仕組み」
です。
その一方で、外国人が日本語や日本の制度を十分に理解できるようにするための情報提供や日本語教育などについては、受入れ側にも責任があります。
例えば、日本に来たばかりの外国人が、
・税金をいつ、どのように納めるのか
・社会保険にどのように加入するのか
・医療機関をどのように利用するのか
・子どもを学校に通わせるにはどうすればよいのか
・地域社会ではどのような生活上のルールがあるのか
を知らなければ、本人に悪意がなくても、制度上・生活上の問題が発生する可能性があります。
だからこそ、必要なのは、
ルールを外国人だけに特別に課すことではなく、国籍を問わず適用されるルールを明確にし、そのルールを理解するために必要な情報や教育を適切に提供し、違反があれば国籍にかかわらず適正に対応すること
です。
これは、外国人を特別扱いするという意味ではありません。
むしろ逆です。
日本社会のルールについては、国籍を問わず同じ基準で扱う。
その上で、外国人が日本社会で生活するために必要な情報や日本語教育については、受入れを行う国や地域、企業などが必要な環境を整える。
この二つを分けて考える必要があります。
そして、ここまで考えると、外国人政策には、
「入国・在留をどのような条件で認めるのか」という入口の政策だけでなく、「入国・在留が認められた後、日本社会の中でどのようにルールを適用し、生活上必要な環境をどのように整えるのか」という政策も必要である
ことが分かります。
もう一つ足りないのが、「検証」です
現在の重点政策には、
「移民のコストを算出し」
という重要な言葉があります。
これは非常に重要な発想です。
しかし、コストを算出するのであれば、その先に、
「では、その数字を使って政策をどう評価するのか」
という仕組みが必要になります。
例えば、
・外国人の人数
・国籍別の人数
・在留資格別の人数
・税・社会保険料の納付状況
・医療費
・公的扶助
・犯罪
・交通事故
・就業状況
・日本語能力
・子どもの教育
・地域社会への影響
などを継続的に把握し、
「当初の想定どおりだったのか」
を検証する。
そして、想定を超える問題が生じたなら、
受入れ人数や条件を見直す。
ここまで含めて初めて、「国益を念頭に置いた政策」が実効性を持つのではないでしょうか。
これは、日本保守党への批判ではない
ここは、誤解のないように強調しておきたいと思います。
私は、日本保守党の外国人政策を批判するために、この記事を書いているのではありません。
むしろ逆です。
日本保守党には、
移民の総数規制
相手国の選別
経営・管理ビザの悪用防止
特定技能2号の家族帯同制限
社会保障制度の見直し
永住・帰化への問題意識
外国人による制度悪用への対応
留学生と安全保障の問題
など、すでに多くの問題提起があります。
だからこそ、私は、
「これだけ明確な問題意識と個別政策があるのですから、それを一つの国家政策として体系化し、国民に示してはいかがでしょうか」
と提案したいのです。
有権者に必要なのは、「個別政策」だけではなく「全体像」
政党の政策を判断するとき、私たち有権者が知りたいのは、
「この問題について賛成か、反対か」
だけではありません。
本当に知りたいのは、
「この政党は、外国人政策を通じて、どのような日本社会をつくろうとしているのか」
ではないでしょうか。
例えば、
「移民の総数を規制する」
という政策についても、
・なぜ規制するのか
・何人までならよいのか
・何を基準に決めるのか
・どの分野なら受け入れるのか
・受け入れた人には何を求めるのか
・家族帯同をどうするのか
・永住をどうするのか
・帰化をどうするのか
・社会保障をどうするのか
・地域社会への影響をどうするのか
・問題が起きたらどう修正するのか
まで示されて、初めて有権者は政策全体を評価できます。
日本保守党の外国人政策を「一本の線」にすると
ここまで見てくると、日本保守党がすでに示している政策は、ばらばらに存在しているように見えて、実はかなりの程度、一本の線でつなぐことができます。
それは、
「『外国人に選ばれる日本』を目指すことを政策目的として、外国人の受入れを推進するのではなく、日本の国益と日本社会の受入れ能力を基準として、誰を、どの程度、どの条件で受け入れるかを国家として管理する」
という考え方です。
さらに、
「日本社会のルールは、外国人だけに特別に求めるものではなく、国籍にかかわらず、日本社会で生活するすべての人に等しく適用される」
という考え方も見えてきます。
そして、
「外国人の受入れが日本社会にどのような影響を及ぼすのかを把握する」
という問題意識もあります。
これらを一つにつなげれば、かなり明確な外国人政策の基本理念になり得ます。
しかし、最後のピースがまだ足りない
その最後のピースとは、
「受け入れた外国人と日本社会が、ルールを共有しながら、どのように秩序ある共生を実現するのか」
という視点です。
そしてもう一つ、
「政策を実施した結果を、どのように検証し、必要に応じて修正するのか」
という視点です。
この二つが加われば、
受入れの管理
+
在留中のルール
+
社会との秩序ある共生
+
永住・帰化
+
政策の検証と修正
という、一つの政策体系が見えてきます。
これは、現在の日本保守党の政策を否定して、まったく別の政策を作ろうという話ではありません。
すでに存在している政策を、国民にとって理解しやすく、評価しやすい形に整理し直すという提案です。
おわりに――「外国人政策がない」のではない。「政策体系」が見えないのだ
今回、日本保守党の公式サイト、結党宣言、代表談話、そして所属議員の国会活動を改めて調べてみて、私が感じたのは、
「日本保守党には外国人政策がない」
ということではありません。
むしろ、
外国人政策に関する問題意識も、具体的な政策提案も、すでに相当数存在しています。
ただし、それらは、
「重点政策」
「結党宣言」
「代表談話」
「国会質問主意書」
「教育・安全保障政策」
などに分散しています。
そのため、それらを一つ一つ探して読み込まなければ、日本保守党が外国人政策についてどのような国家像を描いているのか、その全体像が見えてきません。
私は、ここに改善の余地があると思います。
外国人政策は、日本の将来を左右する重要な政策です。
だからこそ、
「これだけ明確な問題意識と個別政策があるのですから、それを一つの国家政策として体系化し、国民に示してはいかがでしょうか」
と提案したいのです。
これは、日本保守党を批判するための提案ではありません。
有権者が、日本保守党の外国人政策を正しく理解し、賛成するにせよ反対するにせよ、十分な情報をもって判断できるようにするための提案です。
では、もし現在すでに示されている政策を一つにつなぎ合わせ、そこに不足している部分を補うとしたら、どのような「外国人政策の全体像」を描くことができるのでしょうか。
次回は、日本保守党が掲げる「国益を念頭に置いた政策」を土台として、「日本保守党・外国人政策(統合版)」の一つの私案を提示してみたいと思います。
そこでは、単に「誰を入れるか」だけではなく、
「なぜ受け入れるのか」
「どの程度受け入れるのか」
「どのようなルールを求めるのか」
「日本社会は何を準備するのか」
「永住・帰化をどう考えるのか」
「そして、その政策が正しかったかをどう検証するのか」
まで含めて、一つの政策体系として考えてみます。
