なぜ今、あらためて日本の外国人受入れ政策を論じるのか【第11部】制度設計の出発点②――政府は何を目的として外国人を受け入れてきたのか

制度を評価するには、まず「目的」を知らなければならない

前回、第10部では、制度設計は
「何のために制度をつくるのか」
という目的から始まることを述べました。
では、日本政府はこれまで、外国人を何のために受け入れてきたのでしょうか。
この問いに答えなければ、日本の外国人受入れ政策を正しく評価することはできません。
なぜなら、制度は、その目的によって設計も評価基準も変わるからです。

日本政府の目的は、最初から一つだったわけではない

ここで注意しなければならないことがあります。
それは、
日本政府は、最初から一貫して一つの目的だけで外国人を受け入れてきたわけではない
ということです。
時代によって、
社会情勢も、
経済状況も、
国際環境も変わります。
それに応じて、外国人受入れ政策の目的にも変化がありました。
つまり、日本の外国人受入れ政策は、一つの固定した考え方で作られてきた制度ではなく、その時々の課題に対応しながら積み重ねられてきた制度なのです。

しかし、一つだけ共通していることがある

では、その目的は毎回まったく違っていたのでしょうか。
私は、そうではないと考えています。
制度の細かな内容は変わってきました。
しかし、政府が繰り返し説明してきた考え方には、一つの共通点があります。
それは、
外国人を受け入れること自体を目的としてきたのではない
ということです。
必要とされる政策目的があり、
その目的を達成するための手段として外国人の受入れ制度を設計してきた。
少なくとも政府は、そのような説明を繰り返してきました。
例えば、
ある時代には、
専門的・技術的分野の人材を受け入れること。
またある時代には、
国際化への対応。
さらに別の時代には、
経済社会の変化への対応。
その時々で重点は変わってきましたが、
「外国人を受け入れること自体が政策目的である」
という説明は、政府は基本的に採ってきませんでした。

目的が変われば、制度も変わる

これは制度設計として考えれば、ごく自然なことです。
例えば、
高度な専門人材を受け入れる制度と、
人道上の理由で保護する制度では、
当然ながら制度は違います。
さらに、
来日時点では定住を前提とせず、一定期間日本で就労した後はいずれ帰国することを想定した制度と、
来日当初から定住を前提として滞在を認める制度でも、
必要となる制度設計は大きく異なります。

つまり、
制度は目的によって設計される
という、ごく基本的な原則がここにも表れています。
だからこそ、
外国人受入れ政策を評価する際には、
制度だけを見るのではなく、
「その制度は、何を目的として設計されたのか」
という視点が欠かせないのです。

ここから先は、制度が作られた理由を見ていく

これまでのシリーズでは、
制度そのものの仕組みや、
政府答弁の意味について整理してきました。
ここからは、
制度の背景にある政策目的に目を向けていきます。
制度は、突然生まれるものではありません。
その時代ごとの社会的課題や政策判断の中で設計されます。
したがって、
制度を理解するためには、
制度が作られた理由を知る必要があります。

次回予告

では、日本の外国人受入れ政策は、
いつ、
どのような政策目的のもとで、
現在の姿へと大きく転換していったのでしょうか。
次回は、
昭和の終わりから平成初期にかけての政策転換
に焦点を当てながら、
平成元年入管法改正が何を目的として行われたのかを考えていきたいと思います。

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